東西線の葛西駅にある銭湯。駅から南口へ歩いて8分くらいだろうか。大通りからひとつ入ったところ。煙突は見えるのだが、近づくのに苦労する場所にある。不思議な形に婉曲した道路の先にある。
スタンダードな作りの銭湯。入り口の自動ドアが開くと番台があり、左右へと男女の入り口が別れている。お客さんは比較的多いようだ。下駄箱やロッカーの鍵がプラスチックだ。ロッカーも「松竹錠」ではなく、スッキリしている。最近新調したような印象を受ける。
風呂場のペンキ絵は、壮大な富士山。男湯と女湯のちょうど中心に、大きく描かれている。海岸の砂浜から眺めるような構図だ。水色と白色の、大きな内壁もまた富士山の形のように見える。湯船もシンプルで大きく、良く銭湯で見かける、赤いライトに照らされた湯船の噴出口が、懐かしい感じを出している。
相撲のテレビ中継の音が聞こえるのだが、テレビがない。番台の方が鑑賞するためのテレビのようだ。脱衣所に椅子とテーブルはあるのだけど、飲み物は番台の外にある。利用者にとっては、少し不便な作りのような気がする。
葛西駅は今こそ周囲にマンションが建ち並び、朝のラッシュ時はホームから落ちそうなほど人が多いけど、1969年に東西線が開通する前は、ほとんど何も無く「陸の孤島」と呼ばれていたそうだ。葛西駅から南の方向に、銭湯らしき物がこの1件しかない(他にスーパー銭湯が一つ)のは、1969年の新築ラッシュで、すでに一般家庭に風呂が付くのが普通、となっていたからなのかもしれない。
冬至は過ぎたが、日が落ちるのはまだ早い。風呂上がりに銭湯を振り返ると、すでに暗くなっていた。葛西駅まで少し遠いが、その間に、お酒が安い「業務スーパー」があるのが救いである。安くて種類の豊富なお酒屋さんを眺めるのは楽しい。冷えた体は、帰宅後の飲酒で暖めよう。