【千代田区】お玉湯 お玉が池の物語

お玉湯。岩本町駅から、首都高速1号上野線に沿った大通りを南へ下り、岩本町一丁目あたりで少し中に入ったところ。白い看板が目に止まりやすい。入り口は少し奥まったところに有り、柔らかなオレンジ色の灯りに照らされている。

比較的新しく、清潔な印象の銭湯だ。大浴場の壁の絵は、爽やかな緑色の竹林。珍しい絵柄だ。穏やかなクリーム色のタイル壁と、不思議とあっている。ドーム型の天井は意外と高くて、ビルの中の銭湯とは思えない開放感がある。お湯の温度は、さほど熱くなく、湯舟も程よい広さ。ボコボコとバブルが湧いている。

休憩所ではNHKのニュースが流れている。扇風機にはNationalというロゴが見える。「ソフト」モードのボタンを押すと、優しい風が流れてくる。表彰状が飾ってある。「於玉湯 優良施設」「表彰状」。千代田区には銭湯が極めて少なく、5件しかない。東京23区では最少。地価高騰など厳しい条件にも関わらず、頑張っている銭湯は、応援したい。

お玉湯の由来は、かつてこのあたりにあった、お玉が池にあるようだ。お玉、という綺麗な女の子に、二人の男性が恋い焦がれ、迷ったお玉さんは、池に身を投げた、という。お玉さんの名前を取って、このあたりにあった大きな池(上野不忍池よりも大きかった?)が、お玉が池になったそうな。

お玉湯の近くには、繁栄お玉稲荷大明神という、たいそう立派な名前のお社が鎮座している。大きな池があったように、江戸時代はこのあたりは沼地で、さらに低地であったこのあたりには岩場が出ていて、それが岩本町になった、という説もある。ビルが立ち並ぶ今の景色からは想像が難しい。伝えられる名前や記念碑から、暮らしていた人たちが偲ばれる。

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