墨田区、松の湯。JR総武線の両国駅、錦糸町駅と、都営新宿線菊川駅の中間くらいにあります。隅田川からは、竪川(たてかわ)沿いに歩いて来れます。竪川は、上空を首都高速7号小松川線に覆われていてやや騒々しいですが、飛び石に水上公園もあり、川沿いのジョギングスポットでもあります。最近、スマホアプリの「ドラゴンクエストウォーク」を始めました。導かれた勇者(私です)は、休日の勢いで3万歩も歩いてしまい、疲れ果てた先に、「旅人の宿」ではなく「下町の銭湯」、綺麗な女将さんが迎えてくれるという、噂に高い銭湯「松の湯」へと、疲労で重くなった足を運んだのでありました。
さて、墨田区を代表する銭湯「松の湯」さん。堂々たる銭湯ならではの、唐破風(からはふ)正面の構えです。立派な屋根と高い煙突。これこそ銭湯、と思えてしまいます。暖簾をくぐると、番台をかねた待合室があります。自動券売機では、貸しタオルが10円です。無料Wi-Fiも飛んでいるようで、松の湯さんのホームページもあり、SNSも発信しているそうです。快活な女将さんが、地元の若い奥さんたち、元気なちびっ子たちと、下町日常的なお話をされていた。番台前のフロントはとても家庭的な雰囲気に溢れています。
脱衣場に入ります。何だか、安心します。中央には長い腰掛けイスがあり、腰を下ろす部分には畳がしつらえてあります。しっかりとした木造りで、座りやすいです。企業名が彫ってあり、地元の企業、鈴和建設の寄贈品のようです。大浴場の入り口には、見たことのない古風な折りたたみ形状の、鉄製体重計があります。「有効計量:25kg~120kg」という、微妙な表記。半分壊れているようで、「計れますが、マイナス10kgしてください」というメモ書きが、お茶目に貼ってあります。松の湯は、両国国技館からも近く、このあたりは相撲部屋も多いため、120kgを超えるお相撲さんは困るかもしれません。天井を見上げると、立派な黒漆の木造模様が、前面に広がっているのが見渡せます。銭湯の風格を感じます。
大浴場に入ります。大浴槽の上正面に広がる銭湯タイル絵が、なんともメルヘンです。男湯、女湯をまたがる絵の中央には、ディズニー的な西洋風のお城が描かれています。その周囲には、美しい湖畔の様子が広がり、白鳥などが優雅に浮かんでいます。絵の上のほうには、白雪をまとった山脈が連なり、さらに上の空にはジェット機(コンコルド?)が描かれているのも不思議な感覚です。見上げる大浴場の天井の模様は、シマシマ柄の青と白のストライプ。なんとなく市民プールに来たような気持ちにも、なります。
さっぱりとした気分で、お湯から上ります。オロナミンCでも飲もうかな、と思いましたが、元気ハツラツな地元のお子様たちが、高らかに良い声で待合室でリラックスしていたので、遠慮しておきました。待合室は家庭的で、女将さんの人柄でしょうか、親戚の家に遊びに来たような雰囲気があります。テレビではNHKの相撲中継が流れていました。相撲は本場の両国ですから、力士ご本人が来ることも十分にありえます。駅までは少し歩きますが、湯上りの散歩にはちょうど良い距離です。カランコロンという下駄の音が、聞こえてきそうな雰囲気です。いいお湯でした。
グーグルマップより。
ストリートビューより。