【千代田区】稲荷湯 春夏秋冬、明るい富士山 神田の銭湯

千代田区の内神田にある、稲荷湯さん。レンガ色の建物の一階に「稲荷湯」という暖簾がひらめいています。暖簾をくぐると、フロント式の番台があって、2人が座れるイスのある、待合スペースがあります。立派な富士山の絵が掛かっています。番台では、小粋な江戸っ子の兄さんが迎えてくれます。住所は内神田一丁目。行政上は、神田川から北側を外神田(秋葉原駅のほう)、南側を内神田(神田駅のほう)と分けられていますが、町会の名前には誇り高い「司町(つかさまち)」が使われています。たくさんの町の神輿が活躍する「神田祭」が有名です。

さて、稲荷湯さんです。あまり広い銭湯ではないのですが、設備は新しくて綺麗、清掃も行き届いています。脱衣場の床は木板製で歩き心地が良いです。なんと、無料のマッサージ機があります。かなりの年代モノです。今にも壊れそうな外見ですが、無骨な肩たたきバーが、背中全体を揺るがすかのように、十分にほぐしてくれます。

大浴場に入ると、正面に大きな富士山のペンキ絵が広がっています。これは素晴らしい。男女湯に跨るように、とても広い裾野を開いた、パステル調の明るい富士山です。青空を背景にした平和な色調で、春の満開桜、夏の踊るようなヒマワリ、秋の散りそうな紅葉樹、そして雪をかぶった冬の松林が、順番に並んでいるように描かれています。春夏秋冬が一度に楽しめます。斬新な構図ですね。

温かい湯気が立ち上る浴槽は、大きなL字型をしていて、湯温計は40度を指しています。丁度良い温度です。座高の位置もナイスです。洗い場のカランの「熱い方」は、そのまま丁度良い温度。ボディソープとシャンプーも備えられています。平日の夕方でしたので、比較的空いており、私の他にお客さんは数名。会社帰りの勤め人、ジョギング帰りの若者など。脱衣場内には洗濯機もあります。

東京駅から長距離バスに乗って地方へ帰る男性に会いました。海外から帰ってきて、深夜発のバスに乗る前、稲荷湯に立ち寄ったそうです。銭湯で温まり、少しお酒なども買い込んで、流れるバスの車窓で眠りにつくのも、旅の素敵な過ごし方、と思います。

湯上がり、神田駅へ戻るために、神田西口商店街を通って帰ります。商店街のスピーカーからは軽快なジャズピアノの音楽が流れてきます。焼き鳥屋さんや、うなぎの蒲焼屋さん(「うな正」は安くて美味いランチが有名です)からは、美味しそうな匂いが漂ってきます。カレー屋さんも多く見かけます。神田はカレーのグランプリが開かれるほどの激戦地。夕方に早めのお湯を楽しんだら、居酒屋のハッピーアワーでほろ酔ったり、美味しい匂いに吸い込まれてください(笑)。

グーグルマップより。

ストリートビューより。改装中でしょうか。

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