鬼平犯科帳6(池波正太郎) テレワークをしながら

テレワークの日々が続いている。さほど広くも無い部屋で、小さなパソコン画面をのぞき込むようにしながらキーボードを叩いていると、肩がとても凝ってくる。冷蔵庫にある箱入りアイス(チョコとバニラのパリパリアイス)の減りも激しい。運動しなくては!と思い、アマゾンで買ったのがトレーニング用のゴムチューブ。強弱の異なるループ状のゴムチューブを、両腕で引っ張ったり伸ばしたりする。翌々日あたりに筋肉痛が来る(年とった…)ことから、効果があることが伺える。

さて、鬼平犯科帳の6巻。3月に図書館から借りていたものの、なかなか返却する機会がないまま、気が付くと「全館休館」となってしまった。ホームページによると、「貸出中の資料は返却日にかかわらず5月14日を目安に返却してください」とのこと。さらに後日には「5月31日まで休館です」。こんなことなら、もっと多めに借りておけばよかった。

「火付け盗賊改め方」という役職は、さほど儲かるものでは無いようだ。部下の与力(10名)、同心(約40名)を雇いつつ、経費も掛かる。持ち出しが多く、それでも長谷川平蔵にとっては、今までに就いた「肩肘の張る」どの役職よりも「俺の性に、ぴたりとはまっている」という。「自慢ではないが、ほかの誰も俺ほどにはできまい」「好きではないが、それが困ったことだ」

そんな金欠気味(?)の長谷川家にとって、作品「礼金二百両」の結果としては、大きな支えになったようだ。今でいえば(昔もそうだけど)立派な着服には違いないのだけれど、物語を追う中で、読者はその目的を共有しているので、このお頭の懐の広さというか、人間味を感じてしまう。

「猫じゃらしの女」にて。盗賊が屋根をつたって女郎屋へ忍び込む描写では、単に「空き部屋から侵入した」という描写ではなく、「この部屋は普段、お吉という女が使っていたが、左衛門河岸にある遠州屋という海苔問屋の通い番頭の相手に出ていて留守だった」という詳しい説明をつけている。何かの伏線かしら、とすら感じてしまうが、その線はまだ交差していない。

JR浅草橋駅と秋葉原駅の中間には、今でも左衛門橋というのが神田川にかかっていて、「浅草海苔」といえば、江戸初期の浅草名物でもあったが、今ではほとんど見かけない高級品だ。池波正太郎は上野・浅草を古郷とし、池波正太郎記念文庫も台東区浅草にある(いつか行ってみたい!)。こうした、話の本筋ではない所にある小道具も魅力的だ。海苔屋という三文字だけでも、潮の香りが漂ってくる。

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