わかりやすく伝える技術 池上彰

ブックオフの108円コーナーには色あせない実用書が並んでおり、コーヒー代と合わせて数百円と1時間があれば、とても良い頭のリフレッシュができる。池上彰さんの著作は、経済や金融の仕組みを解説してくれるものが多いけど、彼の分かりやすい説明の手口を伝授してくれる書き物も少なくない。本書「わかりやすく伝える技術」は、彼が2002年に著した「相手に「伝わる」話し方」という新書本を、さらに短く、スッキリとさせて、2009年に刊行されたものだ。他にも類似の書籍を発行しているが、本書は今でもアマゾンの分野別ランキングで100位以内を守っている。くどいけど、それが108円だ。

「相手の気持ちになって伝えること」という、根本的な源流が流れているようだ。話をするときには、「リード」といって、記事で言うところの「見出し」を先に述べてあげると、相手が理解しやすい。講演会では、先に時間配分を伝えたり、論点を整理して「相手に地図を渡す」と、安心される。「自分が相手だったら、どうだろう」という客観的な物の見方の重要性を改めて教えてくれる。

第8章「日本語力をみがく」は、すぐに役に立つ。できるだけ使いたくない言葉。「したいと思います」はっきりせよ!「いずれにしましても」ちゃぶ台返し!その一方で有用なキーワードも。「つまりは」要約してみる、「言い換えれば」複数の視点で見れば。多分に池上彰さんの主観的な思いが乗っているけれど、面白い視点だ。特に「言い換えれば」は、マイナスなイベントや発想を、転換できるような力を持っているような気がする。

税込み108円の中古である本書は、定価が740円。鉛筆書きで、いくつかの単語に傍線が引っ張ってあるのが、少し気になるが、それも他の人の視点として参考にもなる。もともとこのホームページも、何かを書き表すことの練習をするためにはじめた。話し方や書き方の技術的に関する本も、たまには目を通すようにしたい。

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