【中央区】世界湯 ホットな湯加減で気分も爽快【廃業】

(2020年7月時点で、東京浴場組合のホームページに「廃業」との記載がありました。人形町で、皆さんから長い間、親しまれた世界湯さん。今までありがとうございました。)

人形町駅と水天宮前駅の、ちょうど中間くらい。東京都中央区、人形町にある、昔ながらの落ち着いた銭湯。番台を通って脱衣場に入ると、冷房が効いていて、涼しい。スピーカーから、ジャズ音楽が流れている。ちょっとお洒落だ。(有線放送のタイミングだったのかも。)

大浴場は、白いタイルでピカピカ、建物は歴史を感じるけど、とても清潔感がある。立派な銭湯壁画だ。男湯の方は、青々とした広い海辺、波が岩間で砕ける様子を、雄大な富士山が裾野を広げている。女湯の方は、立派な渓谷が描かれているようだ(覗いてはいない)。女湯の方からは、昔のお嬢さんたちの、アハハハと笑う楽しげな声が聞こえてくる。

中央にある洗い場の一列のシマに、鏡とシャワーによる、壁敷居が無い。大浴場の真ん中に、低い洗い場の台が、長く横たわっているような感じで、そのおかげで、全体がスッキリと、広く感じる。実際にこの銭湯は、都心にあるにしては、広い。間口が狭くて銭湯っぽくないかもしれないが、安心してご入場いただきたい。

お湯は、熱い。いや、本当に、とても熱い。ゆっくりと温まるよりも、シャキッと疲労感を身体から追い出すかの様なお湯加減だ。水温計を見ると、41度、とある。いや、体感的には、44度は、あると思う。シャンプーとボディーソープも、十分な数が置いてある。

日本橋人形町。地名の由来は、江戸時代の初期には、ここが唯一の歓楽街であり、歌舞伎小屋の中村座や市村座、また、浄瑠璃や人形芝居も行われていて、こうしたお芝居で活躍する人形遣いが多く住んでいたために、人形町と名付けられた、といわれている。

なお、開幕前、江戸城のある台地の東側は広大な湿地(汐入の干潟)で、「ここを埋め立てれば水上交通の便もよくなる」と考えた徳川家康は、街の造成に着手。「城に対する下の町」として、現在の中央区全体と千代田区一帯が整備され、「下町」と呼ばれたそうだ。

埋め立てを進めるにあたり、掘り取った土を両側の土地に積み上げ、低地の「かさ上げ」を行いながら整地し、掘割(ほりわり)が縦横に巡らされた。その代表が、神田川や日本橋川だそうな。ちなみに、神田川を掘割したときに沸いた清水が、「御茶ノ水」なのだそうだ。

帰りに、たい焼きやさんで、「北海道あずき」のたい焼きを買って帰る。封をすると蒸れてしまうので、紙袋の上の口は、開けてくれている。小麦粉と餡子の焼きあがるのが、ふわっと香ばしい。帰り道、乗車した都営浅草線では、美味しそうな香りが車内の一部座席に、漂ってしまった。

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