台東区浅草橋五丁目。このあたりは豪華にも、三つの銭湯が密集している。すなわち、帝国湯、弁天湯、そしてここ、鶴の湯だ。台東区には、雷門のほうにもう一つの鶴の湯があるので、「浅草橋の鶴の湯」と呼んだほうがいいかもしれない。
鶴の湯の、他の2つの銭湯との違いは、昔ながらの一軒家屋であること。隅田川から内側の銭湯は、ほとんどがビル建築の1階部分へと統合しながら営業している。浅草橋周辺の平均坪単価は370万円で、前年比で10%も上昇しているのだから、致し方ない。そのような中で、高い天井を見上げられる銭湯は希少なのだ。
玄関入り口の、鶴の絵が、可愛い。優しそうなおばあさんが、番台兼待合室でテレビを見ている。脱衣場にある木製の長椅子は、ちょっとした座り用事、たとえば靴下を履いたりするのに便利だ。シンプルだけれど清潔な印象。ちょっとした外庭コーナーも見える。
大浴場。お湯が、熱い。久しぶりに、これほど熱い湯船に浸かった気がする。さすがは本家下町、台東区である。江戸っ子は熱いのが好きらしい。グラグラとした湯船は緑色に水中からライトアップされていて、疲れが一気にシャキッと流されるようだ。その一方で、カランのお湯、シャワーはぬるい。もう一段階ずつ、中央値に向かって調整いただけるとちょうどよさそうだ。
向かって左の浴槽は、ちょうどお湯が胸の高さで座れて、よい。緑色の竹模様で装飾されたシャワーコーナーもおしゃれだ。大浴場の中には時計が無いので、時間を忘れてゆっくりお湯に浸れる。(でも、熱いので長湯は禁物かも。)
近くには鳥越神社がある。天気が良くて気持ちがいい。蔵前橋通りはクルマの行き交う大通りだけれど、歩行者道の幅が広くて歩きやすい。外国人もよく見かける。ぜひこのホットな(熱すぎる!)スポットを体験してもらいたい。きっと良い思い出になるはずだ。