台風の影響で、生暖かくて湿った風が、東京都心にも吹き込んできている。セミの鳴き声、まだ元気そうだ。お盆明けの平日の午前、御徒町の周辺を歩いてみると、日本経済を支えているのは中小企業なのだ、という気持ちにさせてくれる。東京都台東区台東四丁目、コーヒー長谷川。最寄り駅は、新御徒町駅。ビビットな外車が印象的だ。清洲橋通りに面しているけれど、すぐ裏手には、秋葉神社の参道でもある、佐竹商店街がある。昔ながらの味わいのある商店が並んでいる。
モーニングセットもあるけれど、コンビーフホットサンドがオススメのようだ。コーヒーはコロンビアのようだ。商店街や地元の中小企業の親父さんたちが集まる。紫煙ただようレトロな喫茶店。日本酒の空瓶が置いてあるところを見ると、夜は居酒屋になるようだ。「洋乃助ライブ、ギター弾き語り」という張り紙と、写真が貼ってある。金曜の夜が、演奏会のようだ。
コーヒーは随分と熱いけど、香りよく、スッキリとした味わいだ。コーヒーカップの花柄が優雅だ。コンビーフサンドは珍しい。分量も十分で、食べごたえあり。キュウリとキャベツのコールスローがよく馴染んでいる。トーストもサクサクと美味しい。
昼時には、ハヤシライスなども注文できるようだ(飲み物の注文がないと少し割高に)。店内には有線ラジオ放送が流れ、昨晩に中国・四国地方に上陸した台風のニュースなどが聞こえてくる。常連さんたちからは、風が強かった、何が飛ばされた、という会話が聞こえてくる。Wi-Fiや充電用コンセント、英語メニューなどといったものには無縁のようだが、手製の貼り紙、地元出身歌手の応援会、サークル活動へのお誘いなど、立派なSNSが提供されている。良い雰囲気がある。
JR御徒町駅も、徒歩圏内だ。繁華街の感じが出てくるにつれて、外国人観光客も増えてくる。大きなキャリーバッグを引きずった若者たちが、クーラーの冷気が吹き出す大手のコーヒーチェーン店へ吸い込まれていく。すでに立秋を過ぎながらも、今年の残暑は、まだしばらくは続きそうだ。