鐘ヶ淵 剣客商売「秋山小兵衛」の隠宅 今の風景

鐘ヶ淵といえば、池波正太郎の歴史小説「剣客商売」において、無外流の老剣客、秋山小兵衛の隠宅が置かれている住所である。ファンとしては一度は聖地を訪れてみたいものである。直接の用事は無かったけど、強引に帰り道をグワンと大廻りさせて、立ち寄ってみた。上の写真は、駅前のファミリーマート、イートインカフェでアイスラテを飲みながら撮影した、駅前の様子だ。

このあたりは、とても素朴な私鉄沿線の一駅、といった印象だ。やや秋風を感じつつも、地域性を保った商店街が一筋、通っており、定食屋や喫茶店も見える。ほかのホームページでも言及されているとおり、池波正太郎の小説的な情緒を感じることは、難しいかもしれない。

隅田川の方へ歩く。水神大橋を渡り切ると、広大な都立汐入公園地区に入る。ポケモンゴーには最適そうな広場だ。南千住駅の方へ向かって、広い道路に街路樹が立ち並んでいる。このあたりは災害時には避難場所になるようだ。9月も後半だが、陽射しが強く、隠れるところのない橋の上は、まるで砂漠を彷徨うような心持ちになる。たまに隅田川を通る涼風が心地良い。

周辺地図によれば、ちょうど地図の右端の、綾瀬川が隅田川へ引き込んだあたりに、秋山小兵衛の隠宅が、あったはずだ。今ではその上を高速道路が走っている。隅田川(大川)を小船で渡り、地図の左の方に、秋山大治郎の道場があったのかも知れない。今では、大規模な高層住宅地がいくつも連なっていて、南千住駅までの間には総合的なショッピング施設「LaLaテラス東京」が堂々と構えていて、荒川区民の一大生活圏になっている。

江戸中期に、作品の登場人物「おはる」さんが、秋山親子を乗せた小船を漕いで渡ったという大川(隅田川)は、澄み渡った秋空を受けて群青色。昔も今日も、悠々と流れている。

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