内房線の車窓からは、のどかな千葉平野(というのかな?)が広がっている。やや曇りがかってはいるものの、静かな空がひろがっている。木更津駅の売店で買ったコーヒーを飲みながら、車窓を流れる景色をを楽しむ。半袖では少し肌寒さも感じるようになってきた。
数日前に千葉県を被災地とした台風15号は、県内の数万世帯を依然として停電地帯としており、全面的な復旧には2週間を要するそうだ。熱中症により亡くなった高齢者も出始めている。中秋節も過ぎて、この秋の涼しさは、とても助かる。
山だが森だかをまたがるようにして、遥か彼方にまで電線を伸ばした大きな鉄塔が、見上げるようにそびえ立っている。頑丈にできているのだろうけれど、内房線の車窓からは、か細く見え、轟々たる台風の前には、なんとも頼りなくも見える。
木更津駅の構内を覆う屋根には、ブルーシートが、貼られていた。売店ではホット珈琲のほかに、お土産が売られている。千葉県銚子市が発祥である、ぬれ煎餅(せんべい)、を買った。「奇跡のぬれ煎餅 ~小さな煎餅が銚子電鉄を救った~」という話がある。赤字続きだった当時の銚子電鉄の経営、老朽化した車両の修理に、この特産品が活躍した。これを応援した人たちがいたということが、心温かい。
車窓からは、梨狩り農園も、ちらほらと見られる。秋が来るたびに、嫁さんが食べるのを楽しみにしている梨だが、今年の収穫はたいへん厳しくなったようだ。戦後日本の例を挙げるまでもなく、日本という国の人々が持つ国民性は、困難から復興するときに、ものすごい力を発揮する、ような気がする。個人として何かできることを、したい。