「この世で一番の奇跡」 オグ マンディーノ

心のあたたまる、古典的な名作。なんて魅力的な老人なんだろう。年老いたら、こんな人物になりたい。主人公は著者本人という設定。著者はベストセラー作家であり、出版社の社長となって日々を多忙に過ごすようになったが、今ひとつ幸福感を感じられないという主人公は、自らをラグピッカー(廃品回収)と称する不思議な老人との出会い、二人の友情、今後の広がりについて描かれている。

まさに、様々な自己啓発書の、原点の一つとして数えても良い作品だ。40年以上も前の作品だが、風景や生活の記載が色あせることなく、今でも同じようなシカゴの街角が存在するのではないか、という気持ちにさせてくれる。

老人が考え抜いた、幸せを感じるための「神の覚え書き」である4つの基本原則を紹介するためのストーリーになる。(1)自分の恵みに感謝すること、(2)自分のかけがえのなさを主張すること、(3)自分の枠を超えること、(4)本当に自分が欲しいと思っている人生を選ぶ勇気と知恵をもつこと。

本書は喜多川泰氏の「上京物語」の巻末に記載された、推奨図書の一つである。氏の「書斎の鍵」の構成、つまり「書斎の勧め」を中とじの別作品として作中に盛り込むスタイルは、この作品を参考にしたのかもしれない。もしも「神の覚え書き」だけを掲載した本であれば、これほどまでに読まれなかったと思う。ストーリーの中に登場する一書物として取り上げることで、作者が「重要で伝えたいが消化不良を起こすかも知れない神髄」は、比較的受け入れられやすい形で読み進めることができるようになる。

老人との会話の中には、過去の偉人たちの言葉や有名な作品、聖書などに関する知識が多数、登場する。これらを読み返した方が、より理解が深まるかもしれない。オグに紹介されたと思って、今後、こうした名作も手に取ってみよう、

タイトルとURLをコピーしました