落ち着いた店内、優しげなマスター。これこそ純喫茶だ。東京都台東区、入谷駅近くの喫茶店「ジァン」は、台東区の下町文化遺産に登録したくなるくらい、完成された良い雰囲気を持つ、街角の喫茶店だ。
天皇陛下の御即位記念の日。今年だけは休日となった。折しも雨が降る東京だが、台東区入谷の織姫神社(かわいい名前だ)の周囲には、即位記念の御朱印帳を求める、長い長い人の列が出来ている。
「小さい地元の神社なのですが、珍しい事です。」マスターが、お客さんの一人に英語で話しかける。その女性はアジア系の方で、旦那さんが、神社べ御朱印帳を求めて並んでいる間、この喫茶店「ジァン」ここで待っているそうだ。
コーヒーは普通の味、少しビターな風味がする。サンドイッチは、六つの具材から二つを選ぶことができる。ハムとタマゴ。薄手の食パンを店内のトースターで焼いてくれる。チン、という音。うん、美味しい。普通に美味しい。お水が美味しい。やさしい軟水だ。
「ジァン」は金杉通りの交差点に面していて、とても喫茶店のようではなく、何かの倉庫なのではないか、とも思えてしまう。「営業中」という看板が目立つ。店内は、ウエスタン風のブラウン基調、洒落た英語の木製看板、年季の入ったタバコ受け皿(でも、全然タバコ臭くない)。テレビからはNHKの連続テレビ小説。とても落ち着く、不思議な空間。
外の看板には、We are 60 years old now, and..to be continued という手製の文字が、流れ書きされている。とても良い雰囲気の喫茶店だ。いつまでも変わらないでいて欲しい。とても落ち着く、洒落た喫茶店だ。