湯上がりのホッピーセットは400円

銭湯上がりに、ホッピーセット、400円。カラカラとマドラーでかき混ぜる。休日の午後2時ごろ。早めに開いている、スーパー銭湯っぽい銭湯「萩の湯」のレストランスペース。こんな時間からお酒を飲むのは、どうなのかしら、と少し迷いながらも、そういえば本日は天皇陛下の即位の礼であり、何かしら祝杯を挙げねばならん、これも人世経験であろうと自らを戒め、肩ひじを張って注文してみた。

カウンターでは、柔道部の主将かと思わせるようなガタイの良い兄貴さんが、テキパキとグラスに氷を入れて、業務用焼酎を注ぎ込み(大治郎、とかいう製品だ)、ホッピーの「外」と言われる、よく冷えた麦芽飲料の瓶を、くれた。兄貴の後ろのキッチンに並んでいるコロッケだかメンチカツだかが、美味しそうだった。

リターナブル瓶で飲むホッピーは、ひときわ美味しい気がする。ホッピービバレッジの本社は東京赤坂、工場は東京都調布市。何度も使い回されたような、この目の前にあるホッピー瓶君は、外側の印刷文字がかすれていて、読みづらくなっている。

「この瓶はリターナブル瓶です。空き瓶はご返却ください。びん保証金をおかえしいたします。」カウンターに返却しても、兄貴さんの「ありやしたー」の他には、特に何も返ってこなかったが、そのような些細なことにこだわってはいけない。ホッピーを飲んで、ややハッピーな気分になった。冬の到来を思わせるような曇り空の下を、言問通りをやや千鳥足で、地下鉄駅方面へと歩き始めた。

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