私を殺さないで 浜口倫太郎

近頃、本好きになっている中学一年生の子供から、本人による推薦図書の一つとして借り受けた小説だ。学校公開で中学校の様子を見に行ったとき、クラス前の廊下に張り出されていた自作「自己紹介」ペーパーにも、好きなこと「読書」とあり、好きな作品のナンバー2に本書が輝いている。

作家である浜口倫太郎という方は、小説家であるほか、関西を中心に活躍している、若手の放送作家でもあるようだ。代表作ともいえる「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」のほか、実に多様なジャンルの小説を書いている。奈良県のご出身のようだ。

本作品では、その奈良県が舞台。ペットが誘拐される事件をめぐり、動物の命の尊さ、人との大切な繋がりを描く。長編ミステリー小説。最後まで面白い。物語の語り手が、その時々の登場人物の一人称である点、視点が移りやすいけど、テンポよく読み進めることができた。

重要な伏線が分かりやすい点、登場人物の性格が明確すぎる点など、ストーリーを軽快に進めるためにサラリとしている点は好みが分かれるかもしれない。「動物愛護センター」や「動物保護センター」の実情が理解できる点、安易にペットを購入することに対する警鐘という点では、とても優れた小説である。

多くの動物が大事に飼われることを願う一方で、「動物愛護センター」へ動物を持ち込む人たちの事情も、考えるべきかもしれない。また、「殺処分ゼロの自治体もある」という場面も、もう少し掘り下げて、具体的な取組まで紹介できれば、そういった活動を広めることの後押しに繋がると思う。我が家のネコを見ながら、思った。

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