京王ライナー(平成ー令和号)

2019年4月30日。いよいよ平成も終わり。ゆく年くる年、ではないけど、実際にテレビ番組では、ゆく時代くる時代、というのが放映されていた。どんなテーマでも話題性があれば商業利用しようとする逞しいセンスを感じる。

京王電鉄は4月初旬に、30日から5月1日にかけて臨時の座席指定列車「京王ライナー 平成→令和号」を運行すると発表した。晩酌のときにそれをたまたま新聞で見かけて、つい勢いで、翌朝には予約してしまった。「平成から令和までを、車内で過ごせる」というものだ。

400円の指定券を購入後、直前まで迷ったけれど、良い経験かなと思い、自宅とは全く逆方向であり、その日のうちには帰れないのにも関わらず、更には冷たい雨が降っているのに、そういった成り行きによって旅立つこととなった。

さて、京王新宿駅の京王ライナーの出発ホームは、スマホカメラで待ち構える人々で大混雑していた。派手な音楽と主に京王ライナーがホームに入ってくる。ホームの先頭には、白い制服の男性が。京王電鉄の社長さんかな?何社かのテレビクルーも見られた。

11:45、へんてこに荘厳なクラシックミュージックが流れる中、発車。満席だ。客層は、家族連れ(幼稚園くらいの子は爆睡中だ)、鉄道趣味の男性(決めつけてはいけないが)、独り身の女性(違うかもしれないが)など。高齢の方は、ほとんど見られない。車内では乗車記念トレーディングカード?が配布された。次いで、記念乗車券の販売が来た。京王電鉄の総力を挙げてのイベントだ。

次に来たのは、警察官かな?と思ったら、警備員だ。いかつい格好をしながら、巡回に来た。ご苦労さまだ。日付の変わる5分前に車内放送「皆さま、まもなく令和の時代を迎えます。」そして、なんと、時報が流されてきた。電話で聞く、あの時報だ。そして、零時。「ただいまより新しい時代が始まりました!令和時代も京王電鉄をよろしくお願いします。」との放送。車内ディスプレイには、祝、天皇陛下、御即位おめでとうございます、の文字が浮かんだ。

やがて列車は、令和時代で初めての停車駅である、府中駅へと到着。もうイベントは終了だ。京王八王子まで行かずとも、ここで引き返そう。調布駅でも、大勢の駅員の方々が緊張の面持ちでスタンバイしていた。やがて列車が駅を離れると、やれやれ、という顔をしながら、一同は見送っていた。お疲れ様だ。

府中駅のベンチで缶コーヒーを開ける。間違って、冷たい方を買ってしまった。やや冷たい雨が降るホームで、随分と遠くまで来たような気がした。口を開けて爆睡していた幼児や、緊張顔の駅員さん、カメラクルーや、お客さんたち。慌ただしいイベントの中で、皇室の皆さま方は、どんな気持ちでいるのだろう、と思った。ささやかに家族だけで迎える訳にはいかない事情の中で、誠にお疲れ様でございます、と思った。

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