ブルース・ウィリスのデスウィッシュという映画のポスターが貼ってあった。悪漢に囲まれながら、こちらに向かってワイルドに銃を構えて、「野郎ども、”銭湯”開始だ!」
元八幡通り商店街にストンと構える入り口は見過ごしてしまいそうなくらいにコンパクトだが、銭湯の中も昔ながらの下町的な印象であり、なんだか懐かしい。
番台から分かれる暖簾も昔から変わっていないのだろう。一回20円の穏やかなドライヤー、少し破けた年代物の腰掛け黒ソファーなど、おもわず「ただいま」と言いたくなる。
浴室も決して広々としてはいないが、平日の午後四時半、10人以上の紳士方が黙々と体を洗っていた。紋門のおじいさんも居る。浴槽からは勢いよくバブルが弾けている。風景画は海原にヨットが三つだ。
元八幡(もとはちまん)商店街は、狭い道幅ながらも都バスが走り(すれ違いぶつかりそう)、肉屋、魚屋、豆腐屋などが商っている。体が温かいままバスに乗って帰れる。派手な主張は少ないけれど、地元の人たちが通い集まる、下町的な素朴な湯処。