東京都台東区三ノ輪2丁目にある銭湯だ。最寄り駅は、東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅、もしくは常磐線の南千住駅。日曜日の午後2時に、池波正太郎作品の聖地巡りツアー(個人的な)の途中で、立ち寄った。残暑の陽射しが強い中を、鐘ヶ淵から歩き通してきたので、まだ夕方前の時間に開いている「改栄湯」さんは、まさに砂漠の中のオアシスだった。とても助かった。
ビルの一階部分にある銭湯、改栄湯さん。下駄箱に靴を入れて暖簾をくぐると、番台に面したロビーに長イスが配してある。お風呂上がりの待ち合わせ、ちょっとした休憩ができる。番台を見上げると、天井に近い壁のところに、額縁にはいった詩がある。「銭湯すたれば、人情すたる」から始まる。田村隆一、という方の名前がある。一読の価値がある。
浴室内は、ややコンパクトな印象だけど、なぜか心が落ち着つく。薄いブラウン系統の控えめな色調の壁タイル、濃い茶色の洗い場。正面の湯船の壁には、とてもかわいいペンキ絵が迎えてくれる。ネコやキツネといった動物たちが、楽しそうに、お神輿を担いでいる。キツネの股の間から水温計が飛び出ており(変な表現だが)、水温派「50度」を指しているが、お湯はいたって、ちょうどよい加減である。
脱衣場には、昔ながらの、電動肩たたき座イスがあった。早い時間帯であり、ちょうどタイミングよく、私以外には誰もいなかったので、試してみる。20円をいれるが、しばらく動かない。左手をイスの側面に伸ばすと、スイッチの感触があった。入れると、グイングインとダイナミックに、テニスボール大のスケボーの車輪のような肩たたきが、動き出した。おお、これは、効く。効きすぎる。スイッチを切ろうと、カチッと下に押すと、今度は小刻みにガタガタガタと振動しだした。なるほど、仕組みを理解できた。5分くらい、動き続けた。
湯上りに番台のポスターを見る。「帰ってきた!ゆっポくん」という、東京都のスタンプラリーが始まっていた。東京都浴場組合に加盟する銭湯(約530軒!)を巡って、12個のスタンプを押せば、何やら微妙にビビットな模様柄のレジャーバックが貰えるそうだ。まだ2ヶ月もあるが、スタンプラリーは、始めるのはすきなのだが、途中から何となく義務感を感じ始めてしまい、面倒になり、成し遂げた記憶は、あまりない。。