JR浅草橋駅の北口から、さらに北へ、つまり浅草の方向へ3分ほど歩きます。自動車が行きかう中通り、中規模ビルの一階に入り口があります。浅草橋の銭湯、弁天湯さんは、弁天湯と書かれた大きめの昇り旗と、小さな弁天様のお社が目印です。開店時間は午後の三時半です。弁天湯の入り口には、手ぬぐいを首に巻いたり、風呂用具の入った桶を手にした、何人かの地元の方々が、並んで待っていました。
玄関を通ると、番台では爽やかで人の良さそうな若者が迎えてくれました。貸タオルも置いてあります。ちょっとオシャレに、フロントには緩やかなジャズが流れています。パイプ椅子が並んでいます。風呂上がりにオロナミンCなどを飲みながら、ちょっとした休憩ができます。浅草橋は、問屋街。雷門で有名な観光地・浅草とは、地下鉄で二駅も離れています。さほど観光地化はされていませんが、日本人形、和服から、材料系に至るまで、様々な問屋街の活気の良さが感じられます。
さて、中に入ると、脱衣場は、やや狭い印象を受けました。一方で、個室トイレは広くて、身体障害者の方が、余裕を持って利用できるようです。浴場の扉を開きます。ビルの中の銭湯とは思えないほど、天井が高くて開放的な感じがします。少し不思議な構造です。まるで一つの大浴場が先にあって、そのあとで内部に脱衣場を作ったかのような気がします(説明が難しいですが)。浴場の中には、昔はシャワースペースだったのかな?と思うような、何となく中途半端(失礼)で不思議な一角があり、シャンプーやボディーソープが置いてあります(使わせてもらい、助かります)。
浴槽は広いものが二つあります。手前と奥に分かれていて、なぜか奥のほうが混雑していました。広い方は、弱めのバブルが底の方から湧いていて、浴槽に座ると、やや首の上まで水位が上がってきます。、溺れまいとし、自然と姿勢が良くなります。座高の高い方には、オススメです。ペンキ絵のないシンプルな壁ですが、大浴場全体がサッパリとしていてシンプルな感じがして、良い感じです。湯加減も丁度いいです。椅子は高さの違うものが二種類。小さい方は、子ども用でしょうか。風呂桶は、毎度おなじみ「ケロリン」です。
台東区の浴場組合のホームページ情報によると、ここ弁天湯では、銭湯の良さと、落語の面白さを多くの方に知っていただきたいとの思いから、年に数回「弁天寄席」を行っているようです。木戸銭(入場料)は入浴券付きで1,500円。日曜日が多いようで、12時30分に受付、13時に開演、14時30分に終演、という流れのようです。弁天湯さんのホームページに「お知らせ」があります。橘ノ圓満さん、橘ノ双葉さん、という方が中心のようです。
弁天湯からの帰り道に、JR浅草橋駅の近く、銀杏岡八幡神社に立ち寄りました。江戸時代に、子守唄やわらべ歌を集成した、釈行智というお坊さんに縁(ゆかり)のある神社のようです。夕方、大衆酒場や飲食店に明かりが灯り始めます。炭火串焼き本舗、焼き肉屋さん、銀だこ道場。境内の方から来る涼しい風が、飲食店の美味しい香りを乗せて、流れてきます。問屋街に位置する小粋な銭湯、いいお湯でした。
グーグルマップより。
ストリートビューより。