スコットランド産のブレンデット・スコッチウイスキー、クレイモア。値段が安い割には、とても飲みやすい、という良い評判を持つお酒。ひょろっと細長いボトルに、キラキラとした淡い黄金色のウイスキー。ラベルの絵柄が英国の紋章のようで、なんとなくカッコいい。スタイルの良い、若い英国の騎士のようだ。
クレイモアという言葉、英語ではClaymoreと書くけれど、昔、スコットランド人が使用していた剣のようだ。スコットランド・ゲール語の「大きな剣」を意味するそうだ。ゲームの世界では、なんだか、そんな大きな剣の武器があったような気がする。力強い大男が振り回すような大剣。そいつが酔っぱらいながら振り回されたら、危険極まりない。今ではスコッチ・ウイスキーの銘柄として知れている。日本酒で言う、剣菱のようなものかな。
味わいの方は、おお、これこそスコッチウイスキーだ、という感じがする。ブラックニッカのリッチブレンド(やや濃い味)の後に飲んだせいもあり、酒樽の深み感や独特の濃厚さは少ないけれど、うん、いい感じだ。スモーキーと甘さがシンプルな感じに広がって、お値段以上、十分に楽しめるお酒だ(表現が下手ですみません)。
ところで、この文章を書いている2019年10月12日、観測史上まれに見る大型で強い「台風19号」が、関東地方に近づいている。東京東部低地帯に位置する江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)には、大規模水害によって浸水する可能性がある区域に約250万人が住んでおり(私もその一人)、それぞれの区の対応について、ちょっと長めになるけれど、備忘として残しておきたい(注意:まだ酔っ払っていません)。
東京23区で一番早く「避難勧告」を出したのは、江戸川区だった。朝9時45分に発令。15時には対象地域の全ての小中学校が受け入れ準備を終えた。周囲の他の区は随分と遅れ、江東区が14時、足立区が15時、墨田区と葛飾区が16時。今となっては、すでに暴風雨だ。無事に小中学校へ、たどり着けただろうか。
ホームページの繋がりやすさ、について。墨田区はまったく繋がらなくタイムアウト。葛飾区は1分後、まだ読み込み中。足立区と江東区も繋がりづらかったが、途中から「災害時緊急用」として簡易ページへ誘導するようになった。 江戸川区のホームページは、魔法のように、一瞬で表示される。午後5時ごろ、「江戸川区災害対策本部設置」という簡易コーナーができ、避難勧告の決定、指示、避難所開設など、情報公開を始めた。
災害への対応力という点で、江戸川区は、ひとつ抜き出ている。江戸川区は、地形的にはハザードマップの最も危険地帯に位置する。でもそれは、住んでいる人にとっては、どうしようもないことだ。東京の経済発展を支えた貴重な地下水の吸い上げによる地盤沈下、当時の人たちを責めても、何も始まらない。災害への備え、起きた後の対応、情報開示は、行政への信頼に繋がると思う。
一方で私といえば、当日になってドンキホーテへ懐中電灯を買い求めに行き、高価なものしか余っていなくてあきらめた、という、計画性も何も無い人間であり、偉そうなことをいえる立場に無いということだけは、声を大にして言っておきたい。また、この未曾有の台風に直面した、各区の行政官たちの大変な奮闘にも、本当に敬意を表したい。