東京都江東区にある、半蔵門線の駅、住吉駅。駅から2分ほど歩き、少し奥に入ったところにある銭湯。しっかりとした、歴史を感じる風合いを待つ銭湯。番台への木製の登り梯子、番台の木柵、柱時計、浴室の木製の窓枠など。長い時間をかけて丁寧に使われた印象だ。
浴室に入る。ペンキ絵が素晴らしい。富士山を遠くに見上げて、松の木が立つ山々を両方に、その真ん中から渓流が流れ落ちてくる絵。あたかも渓流の中の温泉に入っているような絵図である。
半自動で閉まる扉、やや温めだけど赤ボタンを押すと熱い湯が入り込む風呂など、至るところに気配りが見える。全体的に古い作りだが、とてもきれいに整備されており、大事にメンテナンスされている。トイレも綺麗。休日の夕方前だが、先客は10人はくだらなかった。
シャンプーやボディーソープも資生堂。「節度を守ってお使い下さい」とある。こんなこと書かなくても、と思ったが、残念であったが先客の中に学生風の3人組がおり、運動だと言って腕を回したり、浴槽でも騒いだり、無駄にボディーソープを何度も浪費している光景を目にした。
女湯の方から、騒ぐ子供を叱る母親の声が響いてきた。叱られるべきはここにいる若者たちだ!私は憤り、心の中で、銭湯で三度に一度は居合わせる、入れ墨を背負った強面の老人たちを呼んだが、今日は現れなかった。