クリスマスイブの休日。妻と休みの日が重なった。さて、どこへ行こう、と相談して、始めは「鎌倉」になった。十何年も前に行ったきりで、久しい。子供たちは、お寺には興味が無さそうで、誘ってみたものの、さほどには強い関心を示さなかった。私たちの誘いは、昨日、祖母からクリスマスプレゼントで買ってもらったゲームソフトを一日中家で楽しめるということには、勝てなかったようだ。
最寄の駅まで歩いて、ホームの路線図を見る。鎌倉。あらためて、遠いねえ、ということになり、同じ雰囲気を近場で味わいたい、ということになり、行き先は「浅草」になった。都営線の一日パスで行ける、という点も、妻にとってポイントが高かったようだ。
浅草に着いて、台東区の見学施設に登って街を見渡した後に、雷門をくぐり、仲見世どおりを歩く。休日だけあって、混雑している。人形焼を子供たちへの土産に買い、私たちも試食に一つずつ食べる。浅草寺で「頭のよくなる煙」をかぶり、賽銭箱へ、10円ずつをそれぞれ投げる。10円ではとても釣り合わないほどの、大きな願いをかける。子供の学力向上、家族の健康。今年も無事に過ごせたことへの感謝、来年への願い。周囲のいろいろな大勢の人たちも、それぞれの願いをこめて、祈っていたようだ。
やがて妻が、どうやら和風ではなく、クリスマスっぽいところに行きたくなったようで、もう一度、道端の街地図の前で悩む。寒いから地下鉄に入り、東京全体の路線図を見る。目新しいところに行きたいそうで、一つ一つの駅名を目で追うが、そういえばどこも二人で行ったことのあるところだ。これは幸せなことだな、と思いつつ、なぜか「大門」になった。東京タワーに、何か心を引かれるものがあったようだ。
都営浅草線に乗る。快特「三崎口」行きだった。その沿線で、何か無いかな。汐留、新橋、日本橋、浜松町。品川は、一日パスの向こう側なので、躊躇があったようだ。そのうち、私が毎月メールのアンケートに答えて100ポイントずつ貯めていた食事券が4,200円になっていたのに気がつき、そのレストランがある「新浦安」となり、新橋でJRへ乗り換え、千葉へと入った。
レストラン「ラライタリアーノ」は、ホテルエミオンベイ東京という、東京ディズニーランド(どちらも千葉なのだが)のパートナーホテルにある。ランチコースが1,800円からで、ポイントで賄えるはずだったが、「クリスマス特別ブッフェランチ」を絶賛開催中であり、一人3,000円、合計で6,000円となった。立派な外見(もちろん中身も素晴らしい)のホテルだが、駅から徒歩で実測10分以上はあり、冬の風も冷たく、暖かい屋内に入ってから気が付いたものの、今さら引き返す元気も無く、入店した。
コーヒーは深くて美味しかった。外が寒かったので、あったかいのは余計に嬉しい。デザート類も豊富だ。到着が2時近かったため、ラザニアがカチカチになっていたこと以外は良かった。プチパンが美味しい。回転式トースターで焼いて食べる。クラムチャウダーも美味しかった。
その後は、クリスマスプレゼントの購入のため、手分けして有楽町ビックカメラ、秋葉原ヨドバシカメラを回り、地元の出発の駅のスーパーで待ち合わせた。年末になると野菜が急に値上がりするので、今日がチャンス、とばかりに買い込む。
両手いっぱいの袋を持ちながらも、こうした一日を過ごせることに、感謝しないでは居られなかった。やっぱ、ここはサンタかな。サンタさん、今年もありがとう。また来る年も、良い年でありますように。・・・あれ、そういえばこれ、さっき浅草寺の賽銭箱の前でも、同じことを思っていたっけ。
日本人の幸せを込めた願いは、いつだってフレキシブルだ。