ライフトラベラー 人生の旅人 喜多川泰

タイトルからは、例えば若者が旅を通して人生に大切な色々なことを学ぶようなストーリーを想定していた。だけど中身は、旅立つ前の出来事が大半。いや、実際には旅立った後なのかも知れない。

〈0〉を〈1〉にすること。旅先には〈0〉が溢れている。どこまでも自由で不自由な旅のこと。損得が何かを〈やる・やらない〉の基準になると、自分で予想できるものしか手に入らなくなること。

旅に出て不自由に合うと、いつも目の前にある普通のことへの感謝に気がつくこと。もらえるものばかりを考えずに、自分があげられるものをまず用意すること。経験だけが真の財産ということ。

「おこることすべてをたのしむときめてたびにでる」という境地には、まだ辿り着けないけど、人それぞれ、持ち物が違って良い、と言っている。それは最後の方、〈才〉の話に繋がった。色々な伏線が見事に紡がれる。読み物としては比較的短いが、読み返すことで新しい気付きに出会う。

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