フェリーで雪降る小樽へ行ったときのこと。朝市の食堂で朝食を楽しんだあと、寒い野外へ出る。北海道の朝は本当に、痛いほどに寒い。目の前にローソンがある。コンビニの存在は助かる。まさに何年か前のスローガン、「町の、ほっとステーション」だ。
店員さんがお店の前で雪かきをしていた。お疲れさま。店の駐車場には、雪を寄せ集めた、ちょっとした雪山ができている。何となく、その上に登ってみたい気持ちになるが、大人が一人では、みっともないと思われる。子供が居れば、「仕方が無く上に登ってしまった子供を引き戻す役の大人」を演じることが出来るのだが、あいにく今日は子供と一緒ではなかった。
たまたま特別なコーヒーを提供していた。「イパネマ農園、特別ブレンドコーヒー」。熟すと黄色くなる希少なコーヒー豆なのだそうだ。コーヒーの多くは、完熟すると真っ赤になる、とのこと。コーヒーの色は同じく黒く、その味の違いは、正直なところ、よく分からない。
お店の外は冷凍庫のように寒いけど、そんな中で飲むコーヒーはとても暖かく、美味しい。寒い日に屋台のラーメンを食べるような雰囲気だ。このような条件であれば、カップラーメンもきっと美味しく感じられるだろう。
倉庫街を散歩する。寒いけど、コーヒーはとても温かい。吐息がすぐに白くなり、冷たい空気の中、上の方へと登っていき、やがて消えていく。朝の9時頃。だんだん太陽が昇ってきた。もう少し歩けそうだ。雪の町のコンビニは、本当に助かる。100円以上の価値があるコーヒーを楽しんだ。