派遣添乗員ヘトヘト日記(梅村達) 痛快なコラム集! 読み返す価値あり

本書は、66歳を迎えたツアー添乗員(本職はライター)による、派遣添乗員の業務のに日常を綴ったコラム集です。「添乗員自身がなげく日雇い派遣、ほとんど憂鬱、ときどき喜び、生活と痛みのドキュメント」という説明のとおり、面白い内容で文体も読みやすく、最後まで一気に楽しめます。

ドタバタ的に楽しいコラムが多い中で、働くことの楽しみや、仕事の本質的なことにも言及しています。

渋滞にはまりそうになれば、早めに状況を把握し、ツアー参加者に説明して詫びる。旅行会社の担当にもすぐに連絡を入れ、状況次第で旅程を変更し、トラブルで参加者に及ぶ被害が最小限にとどまるよう心掛ける。「ツアーというものは、トラブルの連続。」渋滞、いちご狩りのいちごが不味い、滝が涸れている、桜が咲いていない・・・など。

そんなときでも、「自分のせいではない」と思っては仕方がない。参加者はツアーを楽しみにしている。その気持ちを受け止めて、どう対応するかが大切になってくる、と言います。

数々のクレーム対応で身に着けた3つの法則」には、なるほど!と思わせられます。凄腕バスドライバーや、伝説のベテランガイドさんの話も。ぜひ本書を読んで、確認してみてください。添乗員業務だけでなく、ほかの仕事にも役に立つ知識です。誰かに対して「感謝すること」の大切さも、再認識できます。

作者の梅村達さんは、他には著書が見当たらないようですが、塾の講師、ライター業などの経験もあります(喜多川泰さんに似ている?)。文体や内容のまとめ方を見ても、人に何かを伝えるときのコツを持っているようです。単なる一読の痛快コラム集ではなく、読み返してみる価値のある作品です。

似たような読み物として、「添乗員の愚痴ばなし」という、amazonのkindle本があります。amazon のkindle unlimited(今なら30日間無料)に登録すると、無料で読めます。リンク先から著者のブログへも行けます。コロナ禍により、状況はかなり厳しいようですが、応援したいです。

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