夏の御岳山をテクテク登る(中編)乗り遅れたケーブルカーを見上げて

乗り遅れて乗車できなかったケーブルカーのカラフルな背中を見上げつつ、リュックに付いた蜘蛛の巣(とクモ)を降車してさしあげたところまでが、前編でした。

ケーブルカーへの思いを断ち切って、登山口へ進みます。片道600円がもったいない、足腰を鍛えるために、御岳山頂上への山道、「表参道」へと進みます。

登山口の横には、小さな滝があって、静かに清水を落としています。マイナスイオンに引かれるように近づいて、足元の沢の水に手を入れます。とても冷たくて、気持ち良いです。疲れが和らぎます。立ち上がろうとして、蜘蛛の巣をかぶりました。手で払っても中々落ちなくて、蜘蛛の巣と、しばらく山道を一緒にします。

いきなり、ほぼ45度の(おおげさ)坂道が現れます。沢の音とセミの声に励まされながら登ります。何人かの登山人たちと会います。「こんにちは。」「お先です。」さわやかな声掛けが、気分を良くします。人生、山あり、谷あり、坂あり。すれ違う人たちとの出会いが、豊かな人生を形作るのだなあ、という気分になります。すれ違う…というよりも、今日は追い抜かれていく方が多い気がしますが、それも人生です。

御岳山の山道「表参道」は舗装されているので、スニーカーでも問題なく登れます。いくつかの標識と、説明書きがあります。はじめは「ろくろっ首」。ウネウネと幾重にも曲がりながらの、急な坂道の部分です。かなり急です。汗が吹き出します。これが続くと思うと、気持ちが萎えます。

ろくろっくびを登り切って、しばらくヒーコラと歩いていると、次なるマイルストーン「うまたてば」に着きます。おんまさんの休憩所です。この山道は、自動車も通りますが、昔は馬が主要な運搬手段。馬も大変だったことでしょう。

「たてば」とは、休息所のこと。少しだけ平坦な場所もあり、沢も比較的近いので、おんまさんの休憩には、最適だったのかもしれません。馬の気持ちになって、ペットボトルの水を飲みます。ヒヒーン。疲れた。でも、爽やかな気分。8月下旬の木陰の林道に、涼しい風が通り抜けてきます。

山道の両方には、ひたすらに大きな杉の木が並びます。それぞれにはナンバーがあり、上るほどに数字が若くなってきます。再び疲れ果ててきたところ、494番の期の横、木陰にたたずむベンチがありました。とても助かります。「神のベンチ」と呼びたい。どっこいしょ。しばらく、静かな森林浴を楽しみます。静かな環境。カナカナ鳥(っぽい鳥)の声しか聞こえません。なんだか、悟りが開かれていくようです。


「おおまがり」に着きました。「おおまがりに着いたよ!ここからはラクな道だよ!」という名前なのだそうです。


おおまがりからはしばらく間、平坦な道が続きます。「楽になれる、という安堵感を持ったと伝えられる」そうです。平らな道のありがたさをかみしめながら、少しずつ、山の景色を楽しむ心のゆとりも生まれてくるようです。

涼しくて平らな、杉の林道を歩きます。木漏れ日が差し込んできて、幻想的に美しいです。ドラゴンクエスト的には(ドラクエ10的には)アズラン村の「おごそかな林道地区」の様です。エルフ族とか住んでいそう。マイナスイオンを感じます。ミンミンゼミが応援してくれています。平坦な道はすぐに終わって、再び坂道が始まったとたん、やっぱり頂上へ瞬間移動できるルーラストーンが欲しくなりました。

山道の途中では、自動車とすれ違います。宅配便や郵便局のスクーターも。山の上までの配達、お疲れ様です。東京都なので、都心と同じ料金なのかしら。メルカリ便で離島料金が高いのも納得できます。しばらくして、「なかみせ」というルーラストーンポイント(ではない)に着きます。

やっと半分。この辺りは、随分と平らな空間が開けています。昔はこのあたりに茶店があったそうです。無くさないでほしかった。冷たい抹茶と、お団子が欲しくなります。2本目のペットボトルが空になりました。

だんごどう!に到着です。団子屋では、ありません。昔はお地蔵さんが並んでいて、お供えで、お団子を用意していたそうです。お団子がとても食べたくなりました。

今では一つだけ祠(ほこら)があって、お地蔵さんが控えています。すぐ横にベンチがあります。この先から、坂道が復活します。後編へ続きます。

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