夏も終わりかける9月初旬に、嫁さんと二人で、北鎌倉の円覚寺を参拝した。紅葉にはまだ少し早い季節。セミの鳴き声に残暑を感じつつ、草むらからは虫の声の聞こえてくる。過ごしやすい季節。禅の心「ほどほどがいい」という言葉が馴染みます。
第8巻。「明神の次郎吉」では、与力や同心たちは蚊帳の外。「盜みの3か条」を守る、愛すべき盗賊・次郎吉を巡って、おまさ、相模の彦十といった密偵たちが大活躍する。四十をこえた平蔵の剣友・岸井三馬之助の人柄が温かい。三馬さんの物語は「あきらめきれずに」が引き継いでくれている。
「流星」は、鬼平犯科帳の王道的な作品の一つだ。一筋縄では行かない難事件、鬼の長谷川平蔵が引き継いる火付盗賊改方が、オールスターで活躍する。90ページの分量もちょうどいい読み応えだ。
そのすぐあとに続く短編「白と黒」は、良い箸休めになる。男女の営みの描写が、かなりアレだ。小盗賊「もんどりの亀太郎」という名前も…。様子を探る純情な女密偵・おまさの恥入る様子の描写は微笑ましい。