オロオロ日記

フォレスト出版が放つ、話題4作品の最新作。マンション管理員オロオロ日記(南野苑生)を読みました。

1作目「交通誘導員」は学生時代の警備員アルバイトを、2作目「旅行添乗員」も学生時代の通訳ガイドアルバイト(結構何でもやってた)を思い出しながら読みました。一方で3作目「電気-メーター検針員」は、あまり馴染みが無く、こういう仕事もあるんだなあ、と感じました。

4作目は、平たく言えば、「マンションの管理人さん」です。これは馴染み深い職業です。当方の居住するマンションは比較的小規模ですが、通いの管理人さんが掃除してくれているので、共有部分はいつもキレイ。毎朝、爽やかに挨拶を交わしています。このシリーズでは、一般的な読者にとって、最も身近な職業かと思います。

表紙の絵は「あまりにも貧乏くさい」のですが、中身は読み応えのあるドキュメンタリーです。72歳になる作者は、主に広告代理店の業務キャリアを渡り歩いた後、59歳で配偶者とともに住み込みのマンション管理員になります。

賃金は高くは無いのですが、自分の職業を見下すこと無く、作者は誇りをもっています。住民とのトラブル対応など、「酸いも甘いも噛み分けた器量の持ち主でないと勤まらない」と言っています。72歳を迎えて、なお、また別の生き方を模索しようとする心意気も感じられます。

最終話「一致団結:一生忘れられない光景」は、短いながらも、感動的なエピソードです。マンション管理人に限らず、仕事というものは、周りの人たちの小さな好意に支えられながら、何とか回っているのかもしれません。

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