「サウナーの聖地」と呼ばれる場所です。一生に一度は巡礼したいと思っていたところ、機会があって初訪問できました。結果、一月に一度は定期的に巡礼したくなりました。
9月のとある日曜日。家庭の事情により静岡県に用事ができました。先に東京へ戻った家族とは別行動し(一応誘ったけど丁寧に断られた)、ひとりで聖地へ向かいます。
静岡駅から徒歩で40分程度。途中で観光名所「登呂遺跡」を通るので歩いても楽しそうなのですが、時間の制約上、バスを使います。
バス停から歩いて数分。幹線道路と広い駐車場に囲まれていて、大きな黄色い看板が青い空に映えます。周囲は特になにもなく、海風も感じられ、なんとなく、京葉線沿線(新木場あたり?)の雰囲気です。
日曜日の昼下がりで、混雑は仕方がないです。男性サウナは入場制限中で「30分ほど待ちます」とのこと。名前を告げて近くで待ちます。圧倒的に若い方が多いです。アベック(死語)で来る方も。女性サウナは空いているので女性は先に入って、男性は入場を待ちます。帰りは女性は早めに出てきて、男性は待たされた上にサウナ好きでゆっくり堪能するため(想像ですが)、結果として、空調の効いた玄関ベンチは、男性待ちの女性の方々で占められていました。
しばらくすると名前を呼ばれ、ロッカーの鍵を受け取ります。ビニールパックで包装された館内着とバスタオルを受け取ります。サウナ用タオルは脱衣場で自分で取ります。
広い浴場に入ります。中央に整いイスコーナーがあり、5脚x3列に並んでいます。奥側の左手にフィンランドサウナ(ドライサウナ)、右手に薬草サウナ。浴場の左右には身体を洗うカランが並んでいます。中央の整いイスコーナーをはさんで、サウナと反対側に水風呂があり、滝のような水が流れ落ちています。その右側に浴槽、さらに右手に薬草風呂があります。ドドドッという滝の音が響いています。
浴場内は人でいっぱいですが、適切な人数制限のためか、サウナを並んで待つ人はいないようです。(日曜午後の「湯処葛西」は20人くらい並びます・・)。
身体を洗って、まずはドライサウナへ。二つのサウナ室の間には大きなガラス窓があり、ドライサウナにあるテレビを、薬草サウナからも見られるようになっています。サウナマット(タオル)が積んであります。下段に座ります。ちょうど良い温度。フィンランド的な木材の良い香りがします。上段に移ると、さすがに体感温度が上がってきます。
水風呂へ。聖地と呼ばれる由来ですが、湧き水を使っていて、この水を飲むことができます。滝のように流れ落ちる場所の横に、湧き水が噴き出す水口があります。水風呂の壁には「しきじ天然水」の説明があり、六甲の美味しい水や、サントリー天然水などとの比較表が貼られています。硬水に近いようで、カルシウムやカリウムが豊富です。冷たい湧き水を両手に含んで豪快に飲みます。とても美味しいです。ボトリングして持ち帰ることもできるそうです。
次に、薬草サウナに入ります。こちらは高温です。漢方薬を煮詰めたような香りと湯気が充満しています。かなりの熱さです。多くの方は、サウナタオルを2枚用意して、一つを頭に巻いて、もう一つを口の周りにマスクのように巻き付けています。みなさん月光仮面のようなマスクマンになっています。ちなみに、この薬草の香りは、クセになります。なにか不思議な薬草が混入しているのでしょうか。ヤバイです(良い、という意味です)。
注意点として、薬草サウナ室のドアは半自動では締まらないので、開けたらちゃんと最後まで閉める必要があります。ドアが開くたびに、もわっとした薬草の蒸気が、噴煙のように、浴場の天井に向けて溢れ出します。これはこれでアリです。
もう一度水風呂へ。冷たすぎないので(天然水のちょうどよい冷たさ)、ゆったりと浸かりながら、浴場の中央部に集まっている、整いイスコーナーが空くのを待ちます。整いイスに腰掛けると、どこからか風が吹いてくるのが感じられます。水風呂へ流れ落ちるダイナミックな滝の音は、反響して太鼓の音のようにも聞こえます。開かれた窓から、風が舞い込んできます。周囲に建物が無いので風通しがとても良く、外気浴でなくても快適に整えます。
浴場を出て2階へ向かいます。厚手でしっかりとした作りの館内着は着心地が良いです。2階は休憩室になっています。とても古いマンガ本(三国志とか・・)が並んでいます。リクライニングできるイスがあります。本当の「整い」は2階の方が向いているようです。昭和初期の雰囲気で、落ち着きます。
帰り道は、静岡駅とは反対方向に少し歩けば、駿河湾を望む浜辺に出られます。松林を通り抜けると、海が広がっていました。爽やかな風に吹かれながら、近いうちに、ぜひまた巡礼に参りたいと思いました。