【新宿区】万年湯 日本文化と国際色

新宿の繁華街にある銭湯、万年湯。新大久保商店街へようこそ!元気なアナウンスに、食堂街にはチーズホットドッグ、タッカルビ、クッパなどの写真看板が並んでいます。チーズの焼ける匂い、スパイシーな香り、焼き肉の煙。ここはまるで、韓国のよう。賑やかなショッピングストリート、でも少し路地へ入れば、小学校や公園など、静かな生活環境に囲まれます。不思議な場所です。

日曜日の夕方。一日の労働を終えた太陽は、西の方へ、早く暮れようとしています。茜色に染められた秋空を背景に、新大久保の繁華街は、まさにこれから!といった賑わいを見せています。そんな商店街から、少し奥に入った、袋小路の先。オレンジ色の灯に照らされた「万年湯」という看板は、暖色に温かそうで、何だかほっとします。暖簾をくぐると、いつもの銭湯(当たり前)。下駄箱のデザインはお洒落な斜め模様のキング錠で、ほとんど満員のようでした。

新宿の銭湯、万年湯。新宿に銭湯は多くないようですが、国際色豊かな新宿ならでは、といった内装が広がります。なんと、貸タオルが無料です。シャンプーもボディーソープも備え付けてあります。本当に、身一つで来られる気軽さが、ここ万年湯には、あります。入れ墨の方も大歓迎のようです(明記はないのですが)。券売機には、英語、中国語、韓国語が併記されていて、銭湯っぽい、洒落た作りです。「湯っぽくん」の隣にすわっているぬいぐるみは、新宿区の銭湯マスコットキャラクター「ゆげじい」です。江戸川区の銭湯のマスコットキャラクター「お湯の富士」と、いい勝負です。

写真は、許可を頂いて、撮影しました。

さて、脱衣場に入ります。そこそこに広い空間に、木製の調度品、和風の照明で、落ち着いた雰囲気に、日本風の清潔感が漂っています。大浴場の方を見ると、ほぼ満員のようです。入れ墨の方々、インド系の方々、西洋の方など。国際色豊かな老若男女(女性は居なかった)で賑わっています。脱衣場のロッカーは、木製で檜色、しっかりとした作りです。おそらくは、万年湯のために、伝統工芸の職人が、その心と技を込めて作り上げたような、立派なものです。ここ万年湯の脱衣場内には、防犯カメラ(監視カメラ、とも?)は、設置されていないようです。一方で、個々のロッカーキーには電子タグが付いており、誤って持ち出した時には、気がつくようになっています。

大浴場への扉を開きます。これまた和風な浴場で、まるで、品の良いヤクザ映画(表現が難しいですが)に出てきそうな雰囲気。菅原文太が静かに背中を流していそうな感じです(どんなでしょうか)。檜色の和風天井、障子をデザインしたような窓枠。大浴場の正面を飾る壁はタイル製で、鶴の群れが飛んでいるデザインです。よく、「鶴は千年、亀は万年」と言われます。ここは「万年湯」なので、亀の群れが描かれていても良さそうですが(デザイン的には難しそうですが)、銭湯にはやっぱり、鶴が似合うようです。いくつかの湯船に分かれています。中温の広い湯船、高温で薬草袋の浮いている小型の湯船、サウナからの上がりのお客さん向けに、水風呂。高温が丁度よい。薬草も、好きな香りがする。とてもリラックスできます。インド系の方が、水風呂のほうで、少し長めの沐浴されています。その空間が、聖なるガンジスを彷彿とさせ、神聖な感じすら、します。

さて、(勝手に)総括しますと、万年湯には、スーパー銭湯のような広さや真新しさは無いのですが、設備や道具の一つひとつに、相当な手間がかかっているような気がします。さすがは東京の県庁所在地、新宿(でしたっけ)。これといって文句の付け所が見つからないような、立派な銭湯です。ロビーの番台には、若い女将さんと、大女将さん(というのかな)がいらっしゃいました。JR新大久保駅から徒歩5分で、大江戸線の東新宿駅からも歩ける、なによりも新大久保商店街からの抜群のアクセス。外国からきた観光客の方にも積極的に紹介したいような、国際性と日本文化がとても良く調和した、とてもよいお湯でした。

グーグルマップより。新大久保駅からの徒歩が、近いです。

ストリートビューより。賑やかな新大久保商店街の、細くなった路地の先にあるのが分かります。

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