高山珈琲店

柔らかい暖炉色の室内に、ゆっくりとして低めのジャズピアノ曲が流れている。大通りから路地に入り、もても目立たない入り口の奥に、全く別の世界があった。

高山珈琲店は、まるで映画に出てくる風景のようだ。シャーロック・ホームズが奥のカウンターに頬杖をついて物思いに沈んでいるかのような情景。若くダンディなマスターが、カウンターの奥でカップを磨くイメージだ。(うまく伝わったかしら)

平日の八時半なのに、先客は2名だけ。トーストを頼む。コーヒーは、マイルドと、濃い目のいずれかがよいですか、と聞かれる。セットはなく、単価も低くはないので、毎朝ついでに立ち寄れるところではない所が、ここの店の落ち着きにもつながっているのだろう。

コーヒーは素晴らしく美味しい。優しくマイルドだがしっかりと味がある。テーブルや椅子は深い色の漆塗りの木製、一つ一つ形が少しづつ違う。マスターと向かい合う奥のカウンターには常連さんが似合う。カウンター奥に飾られた洋風のティーカップと受け皿がきれいだ。

ややテーブルの位置が高く、座高の低い(?)私には、少しソファー席のほうが低く感じられた。大切な人だけに勧めたい。そんな気持ちになる貴重な空間だった。

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