「雑談のない人生なんて、ありえない。」表紙をめくったところに書かれた一行だ。テレワーク時代になり、雑談できる機会も少なくなった。本書のテーマ「雑談」は、ビジネスや人間関係の最初の入り口であり、信頼関係を築く重要な武器になる。実用性のあるスキルとして身につけるための超・実践的なポイントを、28章に分けて解説している。
「内容よりも先にまずはテンポを合わせること」「相手の話題は声を大きく、自分の主張は声を小さく」といった基本敵姿勢から、「雑談の空気を明るくするパピプペポのオノマトペ」「相づちのサシスセソ」といった豆知識など。
また、「聞くこと」についても詳しい。聞くのは話すよりも三倍の労力を要するそうだ。図で整理しながら聞くこと、相手の真意を引き出すこと。ちょっとした心がけが、話を弾ませることにつながる。
すべてを読み終わる頃にはヘトヘトになった。まさにトレーニングのようだ。挟まれたコラムが良い息抜きになる。巻末の「雑談のネタになる各都道府県名物」リストはカメラに撮って保存する価値あり(著作権だから載せられないけど)。
こうしたテクニック・スキルを自然に駆使できるようになるには、相当な修練が必要になりそうだ。相手に対して真摯な気持ちを持つことが最も大切。雑談を意識的に楽しむための新たな視点として、とても良い学びになった。