日経プレミアシリーズ。日経新聞の広告欄を見て図書館で予約、やっと順番が回ってきた。著者の中島恵さんは、中国の文化事情にとても詳しいフリージャーナリスト。『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』といったエッセイを書いている。中国の方と一緒に仕事をする機会が多いので、気がつかなかった視点や、なるほど、と共感できる点が多く、読んでいて面白い。
「ウィーチャットがコネ社会を変えたわけ」では、中国版LINEとも言われている、会話アプリのウィーチャットが、仕事の進め方や社会の価値観を変えたことに言及する。ウィーチャットの普及は、中国は法治国家でなく人治国家、何よりもコネが大事だ…という風潮に、風穴を開けた。実力と面白いアイデアがあれば、すぐにでもビジネスを始められる。ネット上に金銭のやり取りが残るのもリスクを軽減させ、新規の取引がしやすくなったそうだ。
中国はものすごいスピードで変化している。数年前の常識は、今の常識ではなくなっている。2019年12月に出版された本書も、しばらくしたら色あせてしまうのかもしれない。そのときにはまた、新しく書かれた書籍を手に取ってみよう。ただし、これらの書籍だけを読んで、思い込んでしまうのは危険かもしれない。現地の方々は、中国人というカテゴリーで描写できないほど、多様性に溢れている。あくまで参考までに、気軽な読み物として、楽しもう。