「スカイツリーに一番近い銭湯。」この宣伝文句は、本物だ。しかし残念なことに、スカイツリーと一緒の写真へ、この銭湯の景色を溶け込ませるのは甚だ難しい。薬師湯の正面に、スカイツリーがそびえ立っているからだ。「振り返れば、スカイツリー。」という表現が最も正しい。葉桜がきれいに見える4月初旬に、錦糸町方面から、スカイツリーを目指して散歩しながら歩いてみた。
待合室ロビーには番台カウンターがある。ここには色んなものが売っている。駄菓子、風呂用具、飲料、アイス、銭湯グッズ。ちょっとした駄菓子屋さんのようだ。しかも「Suica・PASMO」といった電子マネーにも対応している。壁には芸能人のサイン色紙がズラリと壁を埋めている。かなり高機能なマッサージチェアが3台（15分100円は安い）、ステッパー、腹筋鍛え器械？など。バラエティーに富んでいる。
ビルの一階にあるので、天井がやや低いのは仕方がない。浴室はさほど広くはないが、洗い台の上に棚が作られていたり、壁には色々なポスター（ドラえもん映画、健康飲料、街歩き案内など）がはられている。カレンダーには「今日は何湯」といったイベントが景気よく並んでいる。墨田区の下町的な雰囲気が十分に楽しめる。有料だが、サウナも楽しめる。
湯上がりのミネラルウォーターが美味しい。平日の4時すぎだったが、浴室内は14人を数える、地元の老紳士たちで賑わっていた。なんとも、下町的なバラエティー感に富んだ銭湯だ。スカイツリー的な感覚よりも、やはりここは「業平橋的な」といったほうが、この銭湯の良さを良く表せると思う。
最後に、なんとかしてスカイツリーと一緒に写せないかな、と思って、強引に構図を作ったのが下の写真。右側の小さく細長いのが、薬師湯の煙突だ。これだけ至近距離にある。見上げるスカイツリーは大きいけれど、あちらからは米粒ほどにも見えないかもしれない。だけど、かの塔よりずっと古くから存在し、もしかしたらもっと多くの人たちをポカポカと幸せな気分にしてきたのかもしれない。そんな下町の銭湯。
