世界を変えた10冊の本 (池上彰)

池上彰さんは、分かりやすい語り口で、今までにも本当に多くの解説書を書いている。本書は、内容としては、今までの著者による各種の解説本からエッセンスを抜き出したようで、誰もが知っている(経済のほうは難しい?)世界を代表する10点の書物を、一章ごとに分けて、丁寧に紹介してくれる。

「アンネの日記」に始まり、その社会背景であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の原書の紹介、さらにイスラム原理主義のきっかけとなったと言われている「道しるべ(道標)」も掲載しているのは、なかなかに冒険的だ。ちょっと批判的に解説されているので、イスラム教の「道しるべ」の良さが、ほとんど共感できないけれど(共感できたら社会的に困るから、かもしれない)。

出版されたのは2014年で、当時のイスラム社会や米国情勢などは、最近の状況とは違うけれど、宗教や経済に関する根本的な原則の知識は、時代が変わっても色あせない。「世界を変えた10冊の本」でいう世界と、私たち一人ひとりの世界は、なんだか違うものであるような気もするけれど(ちょっと遠い)、一般常識として知っておくためには、分量的にちょうど良く、内容も分かりやすい解説テキストです。

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