木曜日にはココアを 青山美智子

青山美智子さんのデビュー作、「木曜日にはココアを」をはじめとする、12章でひとつながり作品集。桜並木の先にある「マーブルカフェ」で働く若者と、ひそかに好意を寄せる常連の若い女性。柔らかい日差しが降り注ぐ窓際に座って、英語でエアメールを書く様子などは、とても絵になるような描写だ。

それぞれの章では、特定の人物の一人称として語り進められる。柔らかい文章、優しい色彩の描写で描かれている。主人公(ほとんどが女性)たちは、不思議な縁で結ばれながら、次の章の主人公たちにバトンタッチしていく。全体的にホンワカとした内容で、なんだかくすぐったくなってくるような感じもする。

オーストラリアのシドニーで、現地日本人向けの情報誌(WEB版だったかな)に掲載された作品「12色のパステル」を再構成して出版されたようだ。確かにその名前の通り、パステル調の色彩感のある小説。気軽に読み進められるけど、個人的には、何となくホンワカとしすぎて、もう少し強弱というか、山場があっても良いかな、という印象も。女性にとっては、読みやすいのかもしれない。

木曜日にはココアを (宝島社文庫)
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