絶望スクール 石田衣良 池袋ウエストゲートパーク15

池袋を舞台に、不良上がり?の主人公「マコト」が事件を解決していく、人気シリーズ。2020年夏にはアニメ化されるそうだ。今回の第15巻では、動物虐待、危険運転、引きこもりビジネス、留学生ブラック労働をテーマに、物語は軽やかなテンポで展開していく。

マコトの本作でのチョイスは、伊福部昭の「日本狂詩曲」。伊福部昭は「ゴジラ」のテーマソングで有名だけど、日本を代表する作曲家だ。ほぼ独学で作曲家となったそうだ。amazonミュージックで聞いてみると、日本風で、何とも華やかな、盆踊りのようなオーケストラだ。2小節目の「祭」が楽しい。祭りばやしの風景が目の前に広がるようだ。

ベトナムコーヒー、タピオカミルク。飲食は大変だ。競争は激しいし、流行りもすぐに変わる。「よそとの削り合い」なのだそうだ。「人を大切に、あきらめない、手を抜かない。」工業高校の実技の先生の言葉がある。「時間はかかってもいいから丁寧に、きちんと素材の声を聞き、自分に切れず、あきらめずにコツコツ仕事をする。」

「中国でもベトナムでも、本当の金持ちは、子女をアメリカに送る。教育コストは高いが、レベルも高いし、英語も覚えられる。留学生でも貧しくて、成績の良くない方の半分が、日本を留学先に選ぶ。」コンビニでレジを打つ、留学生の方たちの生活の向こう側を、私たちはどれだけ知っているのだろう。政府による「留学生30万人計画」が数値として達成された今、問われているのは、その質。高度人材も大事だが、日本での生活に幸せを感じているかどうか、という指標こそ、最も大切だ。

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