もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら(岩崎夏海)

表紙が何となくアレなので、電車の中で読むときにはブックカバーが必要なのだけれど、内容はとても面白い。イノベーションとは何なのか、ということを、分かりやすい感覚でとらえることができる良作だと思う。となりのは「ミリカレット」といって、花粉症の季節には欠かせない点鼻薬だ。花粉症、早く終わらないかな…。

さて本作品は、ドラッカーの「イノベーションと起業家精神」を下地として、放送作家の岩崎夏海さんが執筆した「もしドラ」の続編。勝つために必要なのは、全員の「居場所」。今回の主役は、野球部のマネージャー。野球部はベンチャー企業。人を集め、居場所をつくり、競争しないで勝てる組織にする!高校野球のマネージャーたちが、ドラッカーを読んで甲子園を目指す青春小説。

今回の野球部のテーマの一つに「民営化」がある。半世紀前は、学校側が行っていた、優秀な監督の獲得、部員集め、グラウンド整備などを、生徒たちのアイデアによって、仕組みを作っていく。

「何気ない一言が、人をとても前向きにさせてくれる。」「心にポッと火の灯るような温かみを感じた。」そのような言葉に出会えることは、幸せなことだ。「何気ない一言で誰かを前向きにさせられたら」という憧れを持ちながら、不安はありつつも、「人事担当」という仕事にやりがいを感じ始める主人公にも好感が持てる。

「イノベーションと、競争をしないことである。」新しいものが生み出されたら、そこにはライバルがいない。競争は、全部、古いもので起こる。高校野球の参加校も100年前には73校だけだったそうだ。たまには本作を読み返して、常に「新しいこと」に意味を見出し、挑戦していく姿勢を、忘れないようにしたい。

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