本所おけら長屋(二)畠山健二 時代は連帯感を求めている?

すっかりファンになってしまった。江戸の下町、おけら長屋を舞台とする日常活劇。紹介記事によれば、本シリーズの読者は「女性が6割」とのこと。キーワードは「シェアリング」の進展にある、と言います。所有することよりも、共有すること。若い人たちが求めているのは、おけら長屋の住人たちの持つ「つながり」や「きずな」といった、連帯感なのかもしれません。

おけら長屋の浪人・島田鉄斎の元主君(高宗公)が、長屋を訪れてくる話「こくいん」。お武家さんの、カタイ言葉しか話せないお殿様と、長屋の連中との掛け合いが、真骨頂だ。通勤の地下鉄で読みながら、思わず吹き出してしまった(せき込むフリをした・・・コロナ禍でますます疑われた)。「高宗は、このひとときを、心から楽しいと思えた。この連帯感は何だろう。この安堵感はどこから生まれてくるのだろう。」

池波正太郎ワールドとは、また別の味わいを持つ、現代人のニーズも取り入れた時代小説。1年に2回の刊行を、心待ちにしています。

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