1,000円以下の国産ウイスキー10選(後編)

格安国産ウイスキー、後半戦を紹介します。

前編ではトリスウイスキーとニッカウヰスキーを紹介させてもらいました。後編では、風味を楽しめる「格安すぎ」なボトルも含めて、ステイホームで楽しめる1,000円未満のウイスキーを飲み比べます。

セブンプレミアム サントリーウイスキー プライム

セブンイレブンのお酒コーナーに並んでいます。このボトルを手に取った全ての人が「あれ、これって、トリスクラシックじゃないの?」という疑問を持つと思います。モルト・グレーンという原材料、37度というアルコール度数。セブンイレブンの販売サイトにも「圧倒的な「飲みやすさ」を実現しました」との一言だけ。

宣伝広告の通りですが、普通にマイルドで、飲みやすい口当たりです。1800mlの大型ボトルも並んでいます。ボトルデザインもスッキリ、ちょっと高級感も。セブンイレブンでは、デザイナーの佐藤可士和さんがアートディレクター/クリエイティブディレクターとして関わっています。セブンプレミアム以外にも、けっこう種類があるんですね!ボトルの良いイメージは、味わいにも影響するような気がします。

サントリーとセブン&アイホールディングス。両社はいわゆる「第三のビール」分野でも、「サントリー セブンプレミアム ザ・ブリュー」を共同開発している。セブンプレミアムよりも高級な「セブンゴールド」ブランドでは、本格的な高級ビール「セブンゴールド ザ・ゴールドクラス」を開発。その後に改良を進め、今は「金のビール」として、コンビニの冷蔵庫の、一番よい位置で並んでいます。

ローソンではキリンビールとコラボして、プライベートブランド「ローソンセレクト」から、「ゴールドマスター」という第三のビールを発売しています。ファミリーマートはサッポロビールとコラボ、第三のビール「サッポロ ビアサプライズ 至福の香り」を発売中。コンビニに入ったら、市販の缶ビールの値段の違いも、確認してみてください。数円ですが、提携するビール会社の商品なら、お得に買い物できるかも。

サントリーオールド

通称、黒ダルマのウイスキー。何とも無骨な雰囲気です。とにかく黒い。昭和の時代から変わらずに、「家にあるウイスキーといえば、これ」的なオーラを放っています。実家の食器棚、寿司屋のカウンター、スナックや飲み屋さんでのリザーブなど、誰しもどこかで見かけたことのある、昔ながらのウイスキーです。

念のため。残念ながら、千円では買えません。格安なドラッグストアでも税込みで1,700円。AMAZONでも1,800円くらい。庶民の味方「トリスクラシック」や「ブラックニッカクリア」の約3倍の値段なので、普段は視界にすら入りませんが(セコくてすみません)、なんと「メルペイ後払いキャンペーン」により70%が還元されたので、実質は530円くらいで入手できました。またやってくれないかな・・・。

キャップを上から見ると、「寿」マークが印刷されています。何となく幸せな気持ちになれます。枝豆を解凍(少し凍っててシャリシャリしているほうが好きです)、グラスに氷を浮かべて、トポトポと注ぎ、カラカラと回します。一口・・・こ、これは!とにかく深い!芳香が、すごい!(今風に言えば「ヤバい!」「パない!」)。ウイスキー樽の中にいるような気持になります。それでいて、まろやかです。オンザロックでも、これほどのまろやかさ。「どや顔」で鎮座している漆黒のボトルを、改めて眺めつつ、つい、感謝の言葉が出てしまいます。「メルペイ、ありがとう。

以上は、昨年のお話です。メルペイをはじめとする「なんとかペイ」たちには、昨年は、とてもお世話になりました。過当競争気味にも切磋琢磨いただき、キャンペーンを次々に打ち出して頑張っていただきたいです。 まだ何本かの「飲みたいけれど、ちょっと値段が高めのお酒」が、頭の中で、列を作ってワクワクしながら待っています。難点といえば、色々な「何とかペイ」アプリのそれぞれに、中途半端なお釣り金額が貯まっていくので、少しチャージしては、余分な買い物(お菓子とか)が増えてしまうことでしょうか。。

レッド

辛口のウイスキー。サントリーレッドを飲んでみた時の、初めての印象でした。今までは「マイルドでまろやか、日本人に合うウイスキー」を中心に飲み比べてきましたが、それらとは印象が変わります。爽やかで、明るい感じの風味を持つウイスキーです。

サントリーは昭和初期に「赤札」というウイスキーを販売していたそうですが、味が不評で製造中止に。戦後の高度成長期に、ライバル会社のニッカウヰスキーの追い上げを結つ、二代目社長が肝いりで再投入した商品のようです。

アルコール39度数の割には、スッキリとしていて飲みやすいです。食事をしながら飲む「食中酒」とのこと。あまり食事中にウイスキーを飲む日本人は、さほど多くないかもしれませんが(という私は、食事中にも飲んでいますが)、爽やかで明るめの味わいは、幅広く色々な料理と、相性が良さそうです。

「日本の食卓をパッと明るくする、赤いラベルの晩酌ウイスキー。」赤いラベルの印象もありますが、独特な琥珀色に、少しだけ赤みがかかっているような気も。大々的な広告アピールはしていないようですが、最もすっきりとした飲み口のジャパニーズウイスキーとして、独特の立ち位置にあるようです。

V.O.

あら、これはウイスキーではなく、ブランデーですね(と言いつつ、進めます…)。これはブイオー、と読むのでしょうか。ベリー・オールド。V.O.とか、V.S.O.Pとか、X.O.というのは、ブランデーの等級です。コンビニでは蒸留酒としてウイスキーと同じ棚に並んでいることが多く、勘違いされることもあります(私だけかも)。

ブランデーとしては、とても大衆的な価格帯です。千円以内で買えることも。ブランデーはワインから、ウイスキーは穀物から作り出された蒸留酒。有名な「ナポレオン」をはじめ、フランスが主な原産国です。美味しいワインのあるところには、美味しいブランデーがあるそうです。

炭酸水で割ってみます。うん!ブドウのお酒の味がします(当たり前)。でも、どうせブドウなら、ワインの方が好きかも…。この商品は格安ブランデーの代表選手のようなものなので、これだけを飲んで「ブランデーの何たるか」は語るには、ちょっと気が引けます。

個人的には、ブランデーの雰囲気と香りは、十分に楽しめると思います。私の味覚が鈍感なせいかもしれません。それはそれで、幸せなことなのかな。ブランデーは、馬に乗ったナポレオンや、王冠スタイルのルイ14世など、独特でキュートのボトルが多いのも特徴です。味覚、視覚、嗅覚に、経済的感覚。愛好家となるには、まだまだ修行が必要なようです。

キングウイスキー 凛

世の中には、「コレジャナイロボ」という商品があります。プレゼントを開けた子供が「欲しかったのはこれじゃない!!」と叫ばずにはいられないという、ちょっと格好悪い?ロボットのおもちゃです。それはグッドデザイン賞を受賞したくらいに良い商品ですが、正直、同じ経験があります。ポケモンカード拡張パックのデッキセットを間違えたとき(ビリジオンとテラキオンだった気がする)、子供は怒りはしなかったものの、サンタさんとしては、シュンとした気持ちになったものでした。

さて、キングウイスキー「凛」のラベルを見ると、男らしく、堂々と「ブレンド用アルコール」と記載されています。その凛とした姿勢は、見上げたものだと思います。韓国焼酎なんか原材料すら記載していません(それでも好きです。いつか特集します)。それでいて味について、うーん、やっぱり違うな、なんていうのは、ウイスキー愛好家として、どうかなと思います。

その上で、あえて感想を述べるとすれば、「うーん、やっぱり違うな」です。ごめんなさい。。

問題があるとすれば、日本の酒税法にある「ウイスキーの定義」だと思います。いわく、「酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。」とのこと。つまり、90%は純粋なウイスキーでなくても「ウイスキー」と呼んでよいこと、になります。スコッチウイスキーを定義する英国法や、バーボンを定義する米国法などを見習ってほしいです。

と、さんざんにコメントしましたが、「これはこういうものだ」と割り切ってしまえば、十分に楽しめます。ウイスキー風味のスピリッツ。炭酸水でハイボールにすれば、芳香感のある爽快なカクテルサワーです。

ちなみに最近、私がハイボール用に買い求めた、冷蔵庫の炭酸水の消費量が著しいので、調査してみた結果、子供たちがカルピスの原液に炭酸水を注ぎ込み「カルピスソーダ」を密造していることが何となく明らかになりました。炭酸水は「まいばすけっと」で100円なので、大人である私は(さほど)気にしていない(様に努めてい)ますん。

ウイスキー 香薫

宇宙の話をしましょう。宇宙はとてつもなく広大です。地球から一番近い月までの距離でも、約38万km。火星や金星までは、およそ2億kmもあるそうです(大体です)。そのような遥か彼方の星々から、地球で生活する私たちを眺めたとするならば、日常的な悩みなど、ゴマ粒よりも小さなものだと思います。

言い換えるならば、火星のタコ(イカでしたっけ)が、私の疑問「スピリッツを混ぜたものを、ウイスキーと呼べるのだろうか?」をテレパシーで感じたとしても、それは宇宙的視点からは、非常に「些細な事」に見えると思うのです。

そしてこの値段。なんと、ドン・キホーテで498円。税込みだと550円!なぜ政府はお酒を「嗜好品」に分類するのでしょうか。私たち(勝手に巻き込みます)にとって、お酒は「生活必需品」です。クルマがガソリンを必要とするかの如く。

さて、ウイスキー香薫のメーカー、合同酒精株式会社(よく「合成酒株式会社」と間違われる)は、あの「電気ブラン」で有名な、浅草にある日本初のバー「神谷バー」の創始者、神谷傳兵衛(かみやでんべえ)に起因します。サントリーやニッカウヰスキーに負けないくらい、歴史のある会社。明治33年(1900年)に設立、民間初のアルコール製造を始めたそうです。

アマゾンの評価レポートを見ても分かりますが、不思議なことに、この「ウイスキー香薫」、良い評価と悪い評価が両極端です。私自身、そんなに「美味しくない」とは思えません。むしろ「これはこれでアリ」と思えます。結論としては、「ブラックニッカクリアとトリスクラシックに次ぐオススメ」である、と断言できるでしょう。

以上、僭越ながら、10銘柄の比較をさせていただきました。それぞれのお酒に、それぞれの美味しさがあります。各種サイトの評価に心が揺れる今日この頃です。上記の記載は全て忘れて、まっさらな気持ちでお手頃な国産ウイスキーを楽しんでいただきたいと思います。

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