北京市内を個人的に散歩のために移動するにあたり、公共バスと地下鉄は必須である。これらを利用するためには、現金でも乗車できるが、チャージ型交通カードである「イーカートン」という、北京版パスモが重宝する。今回、近場の地下鉄駅で再び購入できたので(実は家に忘れてきた)、出張2日目からはバスにも乗れるようになった。地下鉄と比べたバスの良さは、景色が見えることだ。北京の日曜の朝の風景が、ゆったりと座りながらに(さすがにこの時間帯は空いている)眺められるのは楽しい。
北京のバスは、随分とキレイになったと思う。北京に留学していた20年前の昔は、公共バスといえば、トラックの荷台に幌がついたような乗り心地で、中央部に丸出しのエンジンがあって、アトラクションの様に大揺れしながら、舗装中の道路を翔ぶようしてに走っていたような記憶がある。当時の多くの運転手の姿は、着古したランニング姿とサンダルでアクセルを踏む、その筋の方かと思えるような強面の方々が少なくなく、高オクターブで早口かつ賑やかな添乗員のお姉さんの、中々聞き取れない中国語に面食らったものだ(今でもあまり聞き取れない)。
ホテル前のバス停から、701番バスに乗って30分程度、北京市の中央方面へ向かう。「地安門東」というバス停で降りると、目の前に食堂があった。美味しそうな匂いがする。念願だった熱い豆乳が、まだ売り切れていなかった。油条も揚げたてで、小籠包も含めて、12元(198円くらい)だった。暖かくてそれなりにクセもあるけど美味しい豆乳を飲みながら、朝ご飯を食べつつ、景山公園へと散歩を楽しむことができた。
幸いなことに、今回の出張では、北京の上空には青空が広がっている。日頃は不思議な霧(ウーマイ、と呼んでいる)に囲まれることが多いこの時期だけれど、今回は運が良い。天気の善し悪しで、散歩をする北京の街の雰囲気は一変する。青い空に感謝しながら、低層住宅の多い、比較的閑散とした、北京市の中央から少し北にある景山公園の外壁にそって形成された公園の道を歩いた。雀などがチュンチュンと寄ってくる。年配の方々が太極拳の体操などをしている。親子連れが犬と一緒に散歩している。のどかで平和な日曜日の朝の風景がある。