出張があり、羽田から北京へ。中国国際航空は評価の低い航空会社では決してないのだが、空の上で提供されるビールの味がその高度の空気よりも薄い点は、改善を要求したいその他多くある点の一つだと思う。
缶のパッケージには、何となくプレミアム的な記載が確認できる。天然水使用。度数は四%以上。特製精品ビール。原料に優質麦芽。明確な基準から数値的に判断できそうなのは度数だけのようだけど、よく冷えて出てくるのは良いし、味も決して美味しくなくはない。
さて、北京までの数時間、機内で映画を鑑賞した。日日是好日、という日本映画。お茶を立てる若い女性が主人公。昨年に嫁さんが見に行っていたので、少し気になっていたのだ。
茶道ではその動作の順番が重んじられる。稽古の先生である樹木希林の役回りがとても良い。頭で考えちゃ、だめなのよ。その手が覚えていることを信じて。形から作ると、そこに心が入るようになる。一つ一つが、味わい深い。
主人公は二人の若い女性だが、登場するのは、ご婦人ばかりだ。二十四節気、移り変わる季節を追って、人生イベントとお茶の稽古が並走する。たまに出てくるお茶菓子が美味しそうだ。四季の雰囲気と、軽快に流れる柔らかい音楽が、とても良い。「まだ、霧の中。」梅雨の雨音と、秋雨のそれとの違い。日々の何気ない出来事を、より味わい深く感じられるようになること。頭ではなく、心で。何となく、染み入るテーマだ。日本の四季の素晴らしい美しさにも気が付かせてくれる。
日本から中国へ向かう飛行機の中で鑑賞するには、日本の良いところを改めて気づかせてくれるという意味で、よい映画だった。