流れる田園を見下ろして(2019成都_02)

5月下旬、梅雨入りはまだだけど、山々に覆われた成田空港は、早くも初夏を迎えようとしているようにみえる。滑走中の機内から見渡せる、成田空港の周囲の景色は、遥か向こう側まで新緑が広がり、青空には淡い白雲が浮かんでいる。滑走路のアスファルトの空白地帯を覆っている一面の雑草までも、夏が到来するのを、嬉しそうに思いながら揺れているようにも見える。

離陸走行に入る。今まで手を降っていた雑草たちが、ものすごい勢いで小窓から流れていく。あっという間に高度があがり、眼下には、田園が広がる。雄大に大きく蛇行する川に沿って、きれいな四角形が並ぶ。田植えを終えたばかりなのだろう。水面がキラキラと光っている。毎年、千葉県の佐倉市にいる、我が家の親戚の方が、美味しいお米を送ってくれる。千葉県は偉大である。広大な農業平野と、農家の方々に感謝したくなる。

やがて飛行機は、雲と同じ高さになった。5月末の最近は、日が長い時期だ。午後六時でも、水平に眺める夕日は、まだ夕日のような黄昏の素振りを見せずに、白昼の燦々たる光を遠慮なく放っている。まだまだ若いものには負けん!と言っているようだ。

雲の上に、出た。見下ろす雲は、まるで雪原のようで、太陽の光を浴びて輝いている。巨人が割り箸でかき混ぜたら、綿アメができそうだ。青い空と白い雲の境界線に向けて、飛行機の翼はピン!と姿勢正しく伸びている。飛行機は誇らしげに胸を張りながら、行ってきます!と言っているように見えた。

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