さて、今回の出張の主目的は、いわゆるイベント運営である。ホテル内での交流会の開催も含まれている。中国のビールは、とても安い。700ミリリットル1本で、100円くらいだ。その代わりに、度数は高くても4度くらい。正直に言うと、味が薄くて、あまり美味しくないのだ。比較的大規模な(今回は400名だ)夕食交流会を開催すると、ホテル側は、ビールやソフトドリンクはサービスしてくれることが多い。原価が驚くほど安いからだ。
その一方で、ホテルでワインを注文すると、結構な値段になる。1本で5,000円くらい。日本の相場では、まあ、ホテルのワインなのだから、これくらいだろうと思えるかもしれないけれど、中国では「高い!」という印象しか、無い。ワインの味なんていうのは、ブッフェ形式の立食式の交流会ならば、開封してしまえば、とくに差を感じることは少ないし、文句を言うお客さんも多くはないだろう。安く済ませられるに越したことはない。中国のワインと言えば、「長城ワイン」が(安くて)有名だ。乾杯できれば良いのだから、味はさほど、こだわらない。
そこで、中国の地方における良き商習慣として、飲み物の持ち込みが可能なのだそうだ。ホテル側に相談したら、二つ返事で「OK」が出た。近くのスーパーマーケットの場所まで、教えてくれた。白ワインは、ホテルの冷蔵庫も借してくれる、という。中国の方々は、当然と思っているようだ。日本では、そうはいかないだろう。食品衛生上とか、万が一、食中毒があったら、とか。大らかな習慣だが、イベント開催側にとっては、大いに助かる。
ちなみに、中国では、お酒のインターネット注文サイト、「1919」というのがある。中国で「要酒要酒(お酒を要する!=買う)」と「1919」は、ほぼ同じ発音だ。注文すると、なんと19分以内に、注文者の近くの倉庫から発送される、という仕組みらしい。だが、夜の10時に頼んだが、翌日の昼過ぎになっても、到着しなかった。赤白50本ずつ、という大量注文であったために、安いワインの倉庫間の調整に時間を要したようだ。キャンセルして、スーパーマーケットへ行くことにした。
さて、大きなカートを引いて、数人でスーパーマーケットへ、お酒を買いに出かける。赤白それぞれ50本を買う。1本あたり500円くらい。帰りはタクシーで。大量の、いわゆる「福引き券」のような、トイレットペーパーのセットが1元(16円)で購入できる優待券を、複数枚もらう。出張中に、そんなにトイレットペーパーは不要なので、カートを道路まで押してきてくれて、タクシーを止めるのを手伝ってくれた従業員の方へプレゼントした。山盛りのトイレットペーパーを、喜んでいただいた。日本だったら遠慮するだろう。しかし結果は、どちらもハッピーだ。こういう合理的な考え方も、中国の良さの一つなのかもしれない。