日帰り「白旗の湯」草津温泉(青春18きっぷ)

ウェブでは、よく見かける旅行記ですが・・・。昨年末に青春18きっぷで草津温泉へ日帰りしたときのことを書き留めます。

青春18きっぷを使うと、往復14,000円の交通費が約2,000円になります。総武線・高崎線・吾妻線の乗り換えが比較的スムーズで、18きっぱーの方から見れば、比較的初歩編かと思います。ただし、一番の最寄り駅(都営新宿線)の始発が少し遅いため、今回はJR総武線の新小岩駅まで歩くことになりました。

12月中旬、午前3時半。真っ暗。かき氷のように冷たい空気。静まりかえった商店街を歩きます。明るいまん丸のお月さまに照らされます。

新小岩駅までは徒歩50分。真夜中の商店街は、普段と違う様相。コンビニのシャッターが下りています。開いているお店といえば、コインランドリーと、24時間フィットネスクラブ。たまにタクシーが走ります。スーパーマーケットの前にはトラックが止まっており、荷下ろし作業中。交番、消防署、サンドイッチ屋さん(朝4時から仕込み中!)。私たちの毎日の生活が、物流関連の方々に支えられていることが分かります。

朝5時前の新小岩駅は、結構混んでいます。青春18きっぷは、当日に購入できます。自動切符販売機は少し離れた場所にあります。コーヒーが温まります。秋葉原駅を経由して、上野駅へ。上野発の高崎線(ほぼ始発)は空いていました。コロナ対策で窓が開いているので、寒い風が吹き込んで来ます。車窓から動かない月を見上げます。高崎駅までの2時間で眠ります。

高崎駅に到着。明るくなってきました。駅そば屋さんで「天ぷらそば」を食べます。ものすごく美味しいです。暖かいコーヒーを手にして、吾妻線へ。車窓から見える、朝日に映える山並みが綺麗です。冠雪の富士山も見えます。何より、足元から吹き出る暖房が温かくて、眠ってしまいそう。高崎駅からしばらくは都会?ですが、「祖母島駅」を過ぎたあたりから、山に囲まれ、雪が景色に混ざり始めます。長いトンネルを過ぎると、すっかり雪景色です。

「長野原草津口駅」に到着する前に、乗客たちは電車の先頭へ歩きます。駅から草津温泉までは、JRバスが連絡しています。朝の9時前、急がなくても十分に座れます。42席プラス補助席の綺麗な大型バス、トイレ付き。Suicaが使えます。左側の席の方が、山道を登るときの景色が良いかもしれません。雪解けの水が流れる小川、真っ白な樹氷。粉雪の舞う中、半分程度の乗客を乗せて、バスは草津温泉を目指します。

午前10時頃。「草津温泉バスターミナル」は、意外と空いていました。初めての草津温泉、まずは「湯畑」を見に行きます。さらさらと粉雪が降っています。雪道は一部が凍っているので、はやる気持ちもありますが、滑らないようにゆっくり歩きます。写真を撮るために、湯畑を見下ろせる神社の境内まで、完全に凍っている階段を上ります。急な階段なので、非常に危険です。見晴らしは抜群です。ついでに家内安全を祈願します。

無料の公衆浴場「白旗の湯」に入ります。「無料だから」という理由では無く(それもありますが)、硫黄の濃度が特に高いからです。草津温泉には源泉が多数あります。無色透明の「万代鉱源泉」より、硫黄の強い「白旗源泉」に惹かれました。ガラガラ、と引き戸を開けると、先客が数名。脱衣所と浴室が一つになっています。番台のある古い銭湯を彷彿とします。空いているカゴに衣服を入れて、木製の手桶を借りて、すごく熱いお湯で体を流します。

男湯では、向かって左手の浴槽が、ややぬるく(それでもかなり熱く)、右手が鬼のように熱いようです。左手の浴槽には、お湯の道が外から続いていて、冷まされているようです。非常に年季の入った檜の浴槽。湯船のふちがホワッと湯に浮いています。ほど良い硫黄の香り。お湯に入ると、お湯の熱さと硫黄の酸性(高い酸性湯です)で肌がピリピリとしびれます。お湯のしぶきが目に入ると痛いです(笑)。外気温が低い分、体も冷え切っているので、その体感差がすごいです。少し入って、座って湯冷し。ボーッとします。木の床は年季が入っています。高い天井を見上げます。光の線が湯気に差し込んできます。幻想的。

「白旗の湯」の洗い場には、水道水の蛇口がありますが、凍っていて、水は出ません。檜の床にぺたっと座って、体から立ち上がる湯気をぼーっと見ながら、頭をからっぽに(常にからっぽですが)します。サウナでの「ととのい」とは違ったトランス感覚です。

先客の(角刈りの渋いおっさん)は、「熱湯」のほうに入っています。体が真っ赤!さすがベテラン、という風格です。草津までの道路の下には温泉を通していて、雪解けに使っていることなどを話してくれました。別の男性の方は、ワンボックスカーで来ていて、この真冬に車内泊したそうです。静かに入って、静かに出て行った、メガネの学生さんもいました。午前中であったこともあり、「白旗の湯」は、さほど混み合っていませんでした。

続いて、「西の河原温泉」に向かいます。途中で温泉卵を買って食べます。途中で、温泉まんじゅうを試食させてくれるお店に立ち寄り、暖かい緑茶までいただきました(ごめんなさい、購入はせず)。「湯畑」の老舗よりも、随分と安く買えます。こしあんですが、「粒あんがいいんだけど」という年配のご婦人の問いに対して、「いえ、こしあんとつぶあんの真ん中です」と答えているのが、微笑ましく感じました。

温泉へと続く道の途中にある「西の河原公園」は、小川に沿って、至る所に温泉が湧き出ている、不思議な場所です。川から湯気が立ち上っています。足下の砂利を掘ると、お湯が湧き出てきます。タオルが凍るくらいの寒さの中、指先を所々にある「湯だまり」に入れて温めながら歩きます。粉雪が舞い、硫黄の香りが漂います。「西の河原温泉」には入らなかったのですが(時間の都合上)、散歩するだけでも十分に楽しめます。

最後に「地蔵の湯」へ入ります。湯畑からは少し離れた場所にあります。泉質は「白旗の湯」と似ていて、白濁した硫黄泉です。少し狭いようですが、お湯加減は丁度いい熱さでした(それでも熱めです)。コロナ禍の現在では、3つの公衆浴場が無料で観光客にも開放されていて、その他の公衆浴場は、現在、地元の方のみで利用されているそうです。

さて、滞在時間の限界が近づいてきました。バスの時間に間に合うよう、「地蔵の湯」は手短になりましたが、バスタに向かいます。途中でグーグルマップの調子が悪くなり焦りました。息を切らして到着したバスターミナルには、大勢の人が並んでいます。でも大丈夫、正午12時のバスは、何台も準備されています。4台目の大型バスに乗ることができ、15分遅れで出発しました。上野駅へ向かう特急電車の時間も、余裕を持って設定されています。(私の乗る鈍行電車の時間は、更に余裕があります・・。)

長野原草津口駅で、お弁当を買って、特急電車で食べるのが一般的なようです。併設の食事処もありますが、周辺にはレストランが見当たりません。「かきあげそば」が美味しそうでした。今回は、地元の酒造会社が作っている「秘幻」という日本酒(小瓶)とおつまみ(ポリッピー的なもの)を買って、鈍行電車に乗り込みます。なんとなく硫黄の香りが残ります。

こんなにお金を使わなくて良いのかな、と思いながら。。

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