お馴染みの任侠シリーズ第四弾。任侠道を大事にする小規模暴力団?である我らが阿岐本組は、今回は、銭湯の再建を手掛けるようだ。
テレワークが日常となり、仕事と家庭、オンとオフとの区別が難しくなってきた。今までは、満員電車に揺られつつも、あの一時間ばかりの通勤退勤が、気持ちの区別になっていたけど、仕事場が家の中になると、そのオンとオフの切り替えができなくなってくる。
そんなときこそ、銭湯だ。阿岐本親分の言葉が、心にしみる。「仕事を終えて、ひとっ風呂浴びる。あとはビールを飲んでナイターをテレビで見る。それが、昭和のオッサンの日常だ。いいかい?銭湯ってのはね、一日を締めくくる、重要な儀式だったんだ。」
「数は少なくなるかもしれないけど、銭湯は消滅しない。優遇措置があるとか、組合が支えてくれるとか、そんなことじゃない。広い湯船でゆったりとくつろぐ。日本人にはそれが必要不可欠なんだ。」
阿岐本親分の名言は、本書でも冴えている。「必要のないものは廃れる。でも、廃れるのと消え去るのは同じではありません。廃れても、消える必要はない。」
「しっかり休まないと、いい仕事ができない。必死に考えようとしているときは、けっこう考えていねえもんだ。逆に、頭を空っぽにしようとしたときのほうが、頭が回るんだ。」
これがなかなか、難しい。知識や先入観が邪魔をする。日常の小さな発見や、家族と一緒の何気ない風景を、新鮮に感じられるような、空っぽな頭と心を持てるように心がけたい。