ネコ、かわいい殺し屋 野放しネコを科学する

書店や図書館に入ると、自動的に、ネコ書籍コーナーに吸い寄せられることが多い。癒やし系、生き方リラックス系などのネコ書籍の王道たちに混ざって、一風変わった色彩を放っている書籍が目に止まった。

物騒な書名だけれど、原題は「Cat Wars」。野放しになった野生ネコ問題を、真正面から解説している。副題「生態系への影響を科学する」のとおり、鳥や他の野生動物を脅かす、際立って危険な存在として説明している。

「野放しのネコたちは、アメリカで毎年40億羽にのぼる鳥を殺している。」特に第八章「鳥、人そしてネコにとって望ましい世界」では、責任のある飼い方、法制度、団体の活動を紹介している。ネコ好きだけど少し常識から外れた世俗的な主張に対して、科学的説明を試みている。

邦訳版の刊行は2019年4月だが、原版は2016年のフォーブス誌ベストブック「保全と環境」トップ10に選ばれたそうだ。著者の一人、ピーター・マラ氏は、米国スミソニアン動物園の渡り鳥研究センターの所長。野側にとって野生ネコはまさに「殺し屋」だ。ネコ100%肯定的な日本社会に生きる者に対して、別の視点からの気づきを与えてくれるようだった。

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