東京の真ん中 中央区の6銭湯

東京都の真ん中、中央区の銭湯をご紹介します。

東京駅八重洲口から銀座、築地、晴海に至る「水の都」。中央浴場組合の公式サイトによれば、東京都中央区には、8軒の銭湯が営業しています。実際に訪問した、そのうち5軒(+廃業した思い出の1軒)をご紹介します。

湊湯 軟水のモダンな銭湯

「リンスを使わなくてもしなやかな髪に。」軟水のお湯がとても肌に優しい、湊湯(みなとゆ)さん。オフィス街からも近く、若い方の利用客も多いようです。2010年にリニューアル。ジャズ音楽の流れる、とてもモダンな都心型デザイナーズ銭湯です。

男女の浴室が毎週日曜に入れ替わります。大理石で造られたような豪華な浴槽、電気風呂、遠赤外線を使用したコンフォートサウナ(やや高温で低湿度)を備えたモダンな「黒石タイプ」浴室と、あたたかみのある木材壁、シルク風呂、熱した石に水滴を落とすロッキーサウナ(やや低温で高湿度)を備えた、優しい「木目調タイプ」浴室があります。

週末の夕方に訪問。「黒色タイプ」の方の浴室に入りました。お客さんで賑わっています。比較的若い方や、お子さん連れの方が多いようでした。洗い場のシャワーカランから出るお湯の「柔らかさ」に感動します。これほどの軟水は珍しいです。石鹸が、ものすごい勢いで泡立ちます(笑)。軟水は肌にやさしく、保温・保湿効果に優れているとのこと。ホテルのようなモダンなフロントでは、女性のお客さんも多く見かけました。

アクセス 東京メトロ日比谷線「八丁堀」駅下車、徒歩7分
定休日 土曜
営業時間 15:00−24:30(最終入場24:00)
住所 東京都中央区湊1-6-2
コンフォートサウナ ロッキーサウナ (各4-6名)
コロナ対応 サウナ最終入場23:00、人数・時間制限あり
HP http://www.minatoyu.jp/

銀座湯 地価並に高い!お湯の温度

銀座一丁目!銀座通りの入口からすぐの場所にある、文字通りの「銀座湯」さん。首都高の京橋JCTの下にある、二階建ての銭湯です。

湯暖簾をくぐると、左手に男湯、右手に女湯の入り口があります。一階が女湯、二階が男湯。年季の入ったビルですが、清掃はキチンとされています。寒さがまだ厳しい2月に訪問しました。繁華街から一本離れると、風景が変わります。

二階へ上がると、すぐに脱衣場。さほど広いスペースではありませんが、飲料自販機、休憩用のイスなどがあります。地元のご年配の方や、リュックを背負ったツーリング青年、現場上がり風の男性などで、そこそこ賑わっています。

大浴場に広がるタイル絵は、夜の銀座の街並みです。銀座松屋前でしょうか。地下鉄駅の入口、ネオンサイン、道を歩く若者の姿。大正ロマン的な、銀座の風景が描かれています。女湯の方は、HPによれば、夜空に広がる大花火の絵が描かれているようです。

お湯の加減なのですが、これがメチャクチャに熱いです。本当に「ハンパない」熱さです。水温計は41度を指していますが、体感的には45度くらいです。底の方でつながっている、隣の浴槽の水温計は43度を指していますが、そちらのほうが温く感じます。さすがは銀座。土地の値段だけでなく、お湯の温度も桁違いの高さです

脱衣場には「湯船に水を入れないでください」という注意書きがあり、赤いマジックペンで下線が引かれていました。これではもう、仕方ありません。お湯から上がると、皮ふの色が赤くなっていました。長湯は禁物のようです。心身ともにシャキッとします。湯上りの後も、しばらくの間、冬の銀座の街をコートなしで歩けるほど、保温効果は続きました。銀座のハイクラスな感じを味わいたい方は、ぜひご訪問ください。

アクセス 都営浅草線「宝町」駅下車、徒歩2分
  東京メトロ銀座線「京橋」駅下車、徒歩3分
  東京メトロ有楽町線「銀座一丁目」駅下車、徒歩5分
定休日 日曜、祝日
営業時間 15:00−23:00
住所 東京都中央区銀座1-12-2
コロナ対応 特に記載なし
HP(中央浴場組合) http://www.268chuou.com/list/detail01.php

ゆパーク月島 月島温泉

「月島もんじゃストリート」商店街にある軟水温泉です。周囲にある居酒屋さんが賑やかなので、通り越してしまうような所に入り口があります。もんじゃ焼き屋さんのほか、土産屋さん、お洒落なバー、気さくな居酒屋など、観光地の様に賑やかな商店街の中にあります。

ちなみに、私の子供時代の記憶にある月島の風景は、点々ともんじゃ焼きのお店が散見できる、落ち着いた小さな通りがあって、それぞれの小ぢんまりとした店舗で、女将さんと話しながら、あんこ玉などの焼き方を教えてもらう、といったというものでした。時代は変わりましたね。。

「月島温泉」マークの看板をくぐるように進んで、階段またはエレベーターで2階へ上がると、受付があります。休日の夕方。とても混みあっていました。番台スペースには待合イスが3脚。湯上りのおじいさんたちがビールを飲みながら、赤ら顔で、野球の話をしていました(まだコロナ禍の前です)。脱衣場や洗い場などには、禁止事項の張り紙が目立ちます。「静かに」「飲料持ち込み禁止」「読書禁止」など。アーケード内であり、他の店舗にも囲まれているので、近所へ迷惑にならないよう、特別に配慮されているのかもしれません。

軟水の柔らかいお湯が楽しめます。「月島温泉」とありますが、本来は温泉ではないそうですが、「温泉気分で楽しんでいただきたい、との思いで「月島温泉」と命名いたしました。」と、中央区衛生環境協会の公式HPに書かれていました。

ドライサウナ室は時間柄、大変混んでいて、それこそ肩を並べるような状態でした。水風呂にも3人が浸かっていました。サウナ利用は断念しましたが、平日の昼間などであれば、快適かもしれません。

薬湯の露天風呂があります。漢方の香りがする生薬の袋が浮かんでいました。洗い場の壁のタイル絵は、ディズニーの登場人物たち。注意書きの張り紙が目立ちますが、それもこの銭湯の風物詩だと思えば、良い思い出にできるかもしれません。月島へ買い物にきたら、気分転換に少し立ち寄っても良いと思う。施設には少し年季を感じますが、色々と手作りの温かみも感じられます。

アクセス 東京メトロ有楽町線「月島」駅下車、徒歩4分
定休日 無休
営業時間 14:30-23:40
住所 東京都中央区月島3-4-5(2階)
サウナ(10-12名)、露天風呂、薬湯
コロナ対応 時短営業22:40まで、サウナは受付時に5名制限
HP http://tsukishima-onsen.seesaa.net/

十思湯  次世代型?バリアフリー銭湯

十思湯(じっしゆ)の場所には、かつて小学校があったそうです。明治10年に創立した「十思小学校」。校友会のHPには、当時の写真や生い立ち、人々の往来が綴られています。学校がなくなっても、その跡地「十思スクエア」は、保育園やデイケア施設、そして銭湯として生まれ変わりました。同窓生たちの、大切な交流の場なのかもしれませんね。

時代とともに銭湯の数は減りましたが、モダンなデザイナー銭湯、交流の場「銭湯寄席」、SNS連携での情報発信など(上野の「寿湯」さんが上手)、積極的にアイデアを出して行動している銭湯は、キラキラと輝いているように見えます。デイケア施設との共存というのも、その一つなのかもしれませんね。

小伝馬町の駅から徒歩数分。「人形町通り」には、和菓子屋さん、人形焼き屋さん、江戸時代風の小物が並んだお店などが並んでいて、近場で楽しめるお買い物には最適です。

さて、2014年に改装したばかりの施設は、どこも新しくて、観光ホテルの大浴場に入ったような雰囲気です。利用客は高齢者の方が多いようですが、ジョギングやサイクリングの帰りといった雰囲気の、若い人たちの姿も見られます。

高齢者に優しい作りで、必ずどこかに、手すりがあります。大浴場には大きな浴槽が2つあって、それぞれ温度が違います。温度の低い浴槽の方は、半身浴ができる程度の深さ。場所によっては「足湯」のような状態で温まることもできます。肩までつかるには、やや狭い印象です。温度の高い浴槽の方は、それなりの熱さです。

サウナや水風呂もあります。脱衣場に冷水機があるのは嬉しいですね。「東京水」と書いてあります。歯が凍るような冷たさです。バリアフリー、介護施設と一体型の銭湯は、これからの時代、増えていくのかもしれません。

アクセス 東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅下車 徒歩1分
定休日 日曜
営業時間 15:00−23:00
住所 東京都中央区日本橋小伝馬町5-19 十思スクエア別館2階
ドライサウナ(男湯)、ミストサウナ(女湯) 各4-8名程度
HP(中央浴場組合) http://www.268chuou.com/list/detail11.php 

勝どき湯 都会風のオシャレな銭湯

平日の午後。お台場での外出仕事が終わり、豊洲方面からレンタバイクでサイクリングを楽しみつつ帰宅します。長くて大きな橋を、電動自転車でスイスイと快適に渡った先にある「勝どき地区」、見渡す限りのタワーマンションです。下町育ちの私には、まさに未来都市のよう。「勝ちどき湯」は、勝鬨橋(かちどきばし)の南側、低層マンションの住宅街の中にあります。初めての人は、きっと道に迷うと思います(私も迷いました)。

高級マンションのようなエントランス。石造りの階段を地下へ降りると、見慣れた銭湯の下駄箱が並んでいます。フロント式の番台スペースには、コインランドリースペースへ続く通路があります。ジョギングランナーなど、全自動洗濯機で衣服を洗いながら、銭湯を楽しめます。

全体的に新してキレイ。これといった装飾がなく、何となくシンプルな印象です。更衣室も洗い場も、広さは十分です。クリーム色のタイル壁、西洋風の出窓のようなデザインの壁絵は、少しヨーロピアンな雰囲気も。浴槽はやや浅めですがとても広く、泳げそうなくらいです(泳いではいけません)。立派な水風呂もあり、サウナも大きめの印象を受けました。

浴槽のお湯は、まさに適温。ジェット水流の吹き出し口からは、かなりの勢いのお湯が噴出しています。水流で身体が流されて、浴槽の中をクルクルと回ってしまいそうです(ちょっと泳いでいました)。洗い場にはシャンプーとボディーソープ付き。座るとシャワーの位置が少し高いようです。座高の高い方には良いかも。

あまりこれといった「派手さ」はないのですが(すみません)、キレイで新しく、このシンプルさが、とても落ち着きます。もっと人気が出ても良さそうな、隠れ家的な銭湯だと思いました。

アクセス 大江戸線「勝どき」駅下車、徒歩3分
定休日 日曜
営業時間 15:30−22:00
住所 東京都中央区勝どき3-9-7
サウナ(8名程度) 広い水風呂
HP(中央浴場組合) http://www.268chuou.com/list/detail10.php

世界湯 昔ながらの下町銭湯(廃業されました)

2020年4月、東京浴場組合のツイッターで、「廃業」とのお知らせがありました。人形町で長い間親しまれた世界湯さん。今までありがとうございました。営業時の思い出として、2019年秋ごろに訪問した記録を残します。

賑やかな人形町通りから住宅街に入ると、急に落ち着いた下町の風景になります。ネコが伸びをしていたり、豆腐屋のラッパの音が聞こえてきたり。「世界湯」さんは、昔ながらの雰囲気の、落ち着いた銭湯でした。残暑9月の夕方です。番台を通って脱衣場に入ると、冷房から涼しい風が頬に当たります。スピーカーからはジャズ音楽が流れていり、ちょっとお洒落な雰囲気でした。

建物は歴史を感じますが、とても清潔な銭湯です。大浴場も白いタイルはピカピカで、立派な銭湯絵には、雄大な富士山がゆったりとすそ野を広げて、その下には青々とした広い海辺、波が岩間で砕ける様子が描かれています。女湯の方は、立派な渓谷が描かれているみたい(覗いてはいません)。女湯の方からは、昔のお嬢さんたちの、アハハハと笑う、軽快で楽しげな声が世間話が聞こえてきます。

少し特徴的な洗い場です。中央一列のシマには、鏡とシャワーによる壁敷居がありません。その代わりに、低い洗い場の台が、長く横たわっているような感じです。そのおかげで、浴室全体がスッキリと、より広く感じられます。実際、この「世界湯」さんは、都心にしては、広めの銭湯です。間口が狭いように見えますが、奥行きがあります。

湯加減。おっと、アチチチチ。熱い。いや、本当に。結構熱い。ゆっくりと温まるよりも、疲労感がシャキッと身体中から追い出されます。水温計を見ると41度。本当かしら?銀座湯でも同じ経験をしたような気がします。体感的には44度です。中央浴場組合のスタンダードなのかな・・・。十分に温まった体を揺らしながら、人形町通りを歩いて帰りました。

世界湯さんが廃業になって、中央浴場組合が数える中央区の銭湯も、8軒になりました。毎月2回、入浴料が100円になる「ふれあいデー」もあります(コロナで一時中止)。モダン風から激熱下町風まで。都心にありながらも、人々との交流を大切にする「中央区の銭湯」を紹介してきました。

交通:東京メトロ 日比谷線「人形町」、徒歩4分
営業 2020年4月末に廃業
住所 中央区日本橋人形町2-17-2

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