【青森県青森市】酸ヶ湯温泉 青森を代表する秘湯【2019青函旅-05】

風光明眉な、山奥にある一軒家の温泉、酸ヶ湯(すかゆ)温泉。江戸時代から300年の歴史を持つ、八甲田山の西峰に位置する山の温泉宿です。トリップアドバイザーの青森県温泉では一位、全国の秘湯ランキングでも必ず上位に入っています。青森駅からバスで1時間程度です。

酸ヶ湯温泉は、全国初の国民保養温泉地に指定された3温泉の一つです。1954年に、酸ヶ湯温泉、日光湯元温泉、四万温泉が指定されたそうです。いい具合に全国へ分散しています。残りもぜひ行ってみたいですね。『およそ三百年前の貞享元年(1684)横内(現青森市内)に住む狩人「小山内佐ヱ門四郎」が鹿をしとめそこない、その手負いの鹿を追って山へ入った。それから3日後に発見したが、傷を負っていたはずの鹿があっという間に岩山を駆け上がり逃げ去ってしまった。その俊敏さをみて不思議に思い、付近を探索したところ温泉が湧いているのを見つけた。その後、その温泉に薬効があることを知り「鹿の湯」と名づけ利用した』という由来があるそうです。

小鹿の幻獣がいます

「鹿の湯」が「すかゆ」になったとのことで、確かに玄関には小鹿のはく製もありますが、「お湯の味が酸っぱいから」が主原因である気がしてなりません。ph2程度の酸性のお湯は、白濁の酸性泉です。ホームページには「泉質:酸性硫黄泉(含石膏、酸性硫化水素泉)(緊張低張性温泉)」とあります。「酸っぱ!」と感じた、江戸時代の当時の人たちと、五感を通して共有できるような気がします。

酸ヶ湯温泉といえば千人風呂、総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」です。160畳もの浴室には、熱湯、冷の湯、四分六分の湯、湯滝など、4つの源泉の異なる浴槽(すごい!)があります。混浴ですが、もうもうとした湯気で、お互いには顔しか見えません(むしろ顔も分かりません)。たまに見かけると長髪の男性だったりします。年配のご夫婦とかが、境目のところで静かに会話している様子が見られます。8時から9時までの「女性専用時間」があります。

お湯に入ってみます。ああ、暖かい…。体が心から(芯から)あったまります。とても静か。滝湯から落ちてくるお湯の音が、とととと、と。遠くで雪かき機が動いている、わずかの音。湯気が立ち込める中、幻想的な自然の灯りと、優しいライトが、天井を照らしています。半透明のクリーム色のお湯は、とてもなめらか(酸っぱいけど)。係の方におススメの入浴方法を聞いてみたところ、「5分入浴して、5分滝の湯に打たれて休み、また5分入浴というサイクルが良いですよ」とのこと。滝湯の下にある、まるで大木を切り落としたような椅子は、座り心地と高さがちょうどいいです。

気持ちよくて、口を開けながらぼーっと天井を眺めているのは注意。しずくが落ちてきて、顔に当たりました。酸っぱい!しずくが目に入ると大変に痛そう。「口を開けながらボーッと見上げないでください(Please do not…)」というような注意書きは、今のところ…見当たりません。

夜の8時から9時までと、朝の8時から9時までは、女性専用の時間です。5分前になると、屈強な従業員の方が、男性陣の追い出しに掛かります。大浴場での声がけ、見回りで顔のチェック(女性顔なら見落とされる?)、さらには男性脱衣場では、勢いよく電気掃除機をかけて掃除を始めます。男性陣は、おたおたと飛び出すほかにありません。まるで、女性の平和は私が守る!と言っているようでした。

冬の八甲田山は基本的に閉山しますが、酸ヶ湯温泉までは、山道が確保されています。当日は事故があり、バスが遅れていました。4トントラックが横転して道を塞いでしまい、更にそれを強引に迂回しようとしたクルマが谷沢へ落ちたそうです(お気の毒だけど迷惑!)。朝からの大雪もあり、旅館の方いわく、「今日は随分とお客さんが少ないですね」とのことでした。

館内には湯治のための諸施設が完備しています。もちろん、高級な旅館風のお部屋も。休憩室をのぞいてみました。安楽椅子をはじめ、個性豊かな椅子たちが並んでいます。どの椅子も坐りやすいです。カウンターテーブルは檜の一本木でしょうか。平面に削られて、電源ポートもある。全館にWi-Fiが流れています。ここでなら、今はやりの「テレワーク」「働き方改革」で、ノートパソコンを広げての仕事も大歓迎です。はかどるかどうか、は別ですが…。

日帰りもできますが、2泊3日くらいの湯治の旅がちょうどよいのかもしれません。ぜひまた訪れたい、青森を代表する山奥の立派な秘湯、酸ヶ湯温泉でした。

酸ヶ湯温泉公式サイト

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