スカイツリーに近い、墨田区にある押上駅から徒歩5分ほど。業平五丁目の商店街にある、見た目は下町っぽい銭湯「さくら湯」。
ところが、思いがけずに、良い意味で独特な銭湯さんだった。まず、お湯。地下から組み上げた、天然水を用いているそうだ。湯船に入ると、何となく、肌がキュッキュッとなる。アルカリ性なのだろうか。肌年齢に敏感な女性にとっては、良い水質なのかもしれない。この質感は、もう、温泉と言っても過言では無い。
大浴場には、手前から、真っ白な超音波によるシルク気泡で、まるでミルクのような湯船、肩こりに良いジェットバブル湯、肩にちょうど滝のようにお湯が流れ当たる「ショルダー湯」、高温なセラミック湯、薬湯。サウナもあり、水風呂も付いている。銭湯絵は浴室内には、無い。浴場の中央には六角形の洗い場が二島あり、全体的に広々としている。
ボディーウォッシュ、リンスインシャンプーもついてて、貸タオルは50円、サウナも200円。良心的な値段だ。家族連れ、ご高齢の方々、若者など、多様な層のお客さんで賑わうが、混雑した感じがしないのは、広い感じがするから、かもしれない。
待合室も広くて、海水熱帯魚の水槽にはクマノミなどが優雅に泳いでいる。大きな富士山の油絵が、待合室に掲げてある。漫画コミックや雑誌を読みながら連れ合いを待てるし、銭湯図書館として、文庫本の貸し出しもしているようだ。
業平という地区は、錦糸町から押上までに広がる、昔からの下町生活区であり、スカイツリーは立ち上がったけれど、地元の商店会の風景は昔のままだし、地域コミュニティーもしっかりしている。お祭りが近いようで、区民館のホールからは、笛や太鼓の練習音が響いてくる。夏が終わって、収穫の秋だ。湯上がりに、少し歩き、横十間川に架かる神明橋を中ほどまで渡る。気持ちのいい風が吹いてきて、川辺の遊歩道のススキがさわさわと揺れていた。
